NEXT POCKET SIZE AMPLIFIER "REHEARSAL"

NEXTというのは、フォーク・ギターのMorrisで有名なモリダイラ楽器が一時販売していたエフェクターのブランドです。

 コンパクト・エフェクターがよく売れていた時期にはエフェクターやアンプ専門のメーカーでもないくせにこの分野に参入し、独自ブランドを立ち上げる会社が多かった(東海とかパール等々)。モリダイラのNEXTもそういうのの一つにすぎないです。だからこういう物件に対する評価はせいぜい
「あってもなくてもいいようなもの」
というのが最大限に好意的なもので、しかしむしろ、エフェクターがよく売れていた=需要が豊かだった時期に無用な過当競争を引き起こし、老舗優良メーカーの経営を圧迫し開発力を無駄に疲弊させた、その罪は厳しく糾弾されるべきではなかろうか?

ただ、こういうのの中身は大手老舗メーカーのOEMだったりする可能性もあります。大手の工場の側に「稼働率を上げたい」という経営上の要求があり、そして販売チャンネルがバッティングしないなら、メーカーにとってはOEMした方が良いのかも知れません。
ならばNEXTその他のマイナー・ブランドにも正当な存在意義はある、とはやはり言えず、購入する側からすると無数のブランドが氾濫する事で
・商品カタログの全体像が混乱し
・時として無駄な買い物をさせられてしまう
という点には問題がある。
大手メーカーには作れないような新製品を開発したりニッチな需要にも応じられるような小企業/マイナー・ブランドは存在してくれてなきゃ困りますし、またそういうメーカーはいつの時代にも存在してるものです。そうではなくて、ブーム的に良く売れてる時期に既製品と概ね同じものを売り散らかし、ブームが去れば尻尾を巻く、そういう「旨いとこだけつまみ食い」式の商売は、買う側にとっては迷惑なものだという事です。

 こういうのはエフェクターだけではなく、楽器本体の方でも起こりがちな問題かも知れませんね。たとえば1965年のエレキ・ブーム以降に国内メーカーが乱立した件など。楽器業界というのは他の製造業に比べ、中小企業が新規参入しやすいのかも知れません。

少なくとも60年代〜70年代中頃までの楽器業界には、
・新規参入するにあたっての規制・法的な縛りが少なく、
・巨大な投資や大規模な設備が不要で、
・コピー品に対する規制もルーズだから、製品開発費が掛からない。
という特徴があったと思われ、更に重要な事として、
・購入者側の商品知識が少ないため、品質の優劣を厳しく問われない。
買う側が二流だと、作る側・売る側もそれ相応にしかならないのはむしろ当然。

 でもべつに今さらそんな事はどうでもいいです。2010年現在は、
・楽器なんて、もうそれほど売れない。
・コンパクト・エフェクターは魅力的な商材ではない。
という状況があり、その中でエフェクター業界は
・BOSSなどの大規模量産メーカーが数社
・ベリンガーなどの激安系が数社
・個人経営規模のガレージ・メーカーが星の数ほど
という三極に分化し安定してるかも。エフェクターという商品の性格からすると、これが良いバランスなように思えます。


ここからが本題;
ネクストのPOCKET SIZE AMPLIFIER "REHEARSAL"。ギター→これ→ヘッドフォン という順で接続する練習用ギアです。

入力(INST)は一つ、出力(HEADPHONE)は二つ。入力はもう一つ"CASSETTE"というのがあって、これはカラオケ音源などを接続して、内部でミキシングするためのもの(のはず)。

コントロールはA/N/Dの切替スイッチと1V/1T。TONEはセンター・ノッチ付きの加減型。切替スイッチは

A=チューニング用の440Hz音の発振
N=ノーマル。普通はここで使用
D=内蔵ディストーションON

という組合せ。

電源は9V電池のみ。

歪みエフェクトを内蔵しており、カラオケ・ミキシング機能もあり、ケース背面にはストラップに吊り下げるためのフックも備えられてます。このテの製品に必要な機能はほぼ全て備えられてますね。ただ現在では、
・これよりもずっと小型で、
・英国製著名アンプとそっくりな音が出て、
・見た目も良い
というような製品がありますので、

例;

実用品が必要な人は、新しいのを買った方が良いと思います。

2010/06/19
(改)2017/04/24





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