Ibanez OT10 OCTAVE

発売期間:1980年代中頃のはずなんだけど、ネットでググってもイマイチ不明な10シリーズ。

オクターバーなんですが"EDGE"というツマミがあるのが特徴。これは内容的にはアッパー・オクターブの音量調整ノブ(おとなしめのオクターブ・ファズとでもいうようなもの)なんですが、アッパー・オクターバとしての効果は他社製品同様、1オクターブ上の音が、

「出ている、ような気がする」
「そら耳程度に聞こえる」

というクオリティ。ですが、これはあくまでもエッヂツマミなのであって、アッパー・オクターブだとはどこにも書いていないという、いわば「ネーミング大賞」なツマミ(かどうか)。

まぁ実際、他社製品のように「オクターブ」を謳い、結果として不評を買ってしまうよりも、"EDGE"という分かるような分からないような、逃げ道が用意されているようなネーミングの方が、何かとカドも立たず、エフェクター業界での身過ぎ世過ぎとして、これが正しい企業のあり方……

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しかしこの"EDGE"ツマミは、なかなか良いものだと思います。ツマミの名称効果の関係というのは、「商品としてのエフェクター」にとって重要(な場合もある)問題ですから、まず第一に「買った人がガッカリするような看板を与えてはいけない」のは当然として、「このエフェクトをどんな風に使ってやろうか?」というイマジネーションを与えるような(←ちょっと大げさだが)名称を考えるってのもメーカーさんの重要な仕事かではなかろうか。

実際この"EDGE"ツマミを上げればフレーズにエッジが付くのでして、
「オクターブ上なんて出ねぇじゃねーかコノヤロー」
と思われながら使われるよりも、そして
「ダメだコレ、使えね」
で放置されてしまうよりも、
「なるほどエッジか……おーエッジが付いた!」
と思って使われる方が、なにか可能性が広がると言いますか。「単音フレーズに使うエフェクター=オクターバー」のおまけ機能としては、これなかなか良いと思います。

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一応この製品の、オクターバとしての基本性能(ダウン側)について。

5弦開放より下の音域では多少動作が不安定で、反応が遅かったり、サスティンさせているとオクターブ上に裏返ったりと、やや挙動不審な面がありますが、それはボスOC-2あたりもだいたい同様で。それより上の音域では反応も追随性も良。音質は丸っこい(ハイ落ちした)クリーン・トーン、ややオルガン・トーン風のもの。

アッパー側も1弦12フレットより上の音域では、わりと出てる(かもなー)です。

2006/12/11
(改)2008/03/28





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