PRESCRIPTION RX OVERDRIVER

プリスクリプションのオーバー・ドライブ"RX OVERDRIVER"。カラーサウンドのクローン系ですね。これ単体ではそれほど歪まず、そのかわりブースターとしてはかなりのゲイン率があります。電源は9V電池のみ。ACアダプターに対応していない初期型です。

というのが基本情報なんですが、この個体は改造品でして、

1.配線材交換
2.トゥルー・バイパス化
3.ON/OFF表示のLED増設(高輝度・青)
4.IN/OUTのジャックとON/OFFスイッチ交換
5.裏フタの内側全面に絶縁用の薄いフィルムが貼ってある

と、都合5個所の改造があります(LEDの付けられている位置は"TREBLE"ツマミの下、"RX"ロゴマークの上)。

改造作業を行ったのは都内某S楽器店なんだそうですが、この点については確証は無し。配線材のメーカーは不明。繊維被膜の撚り線です。

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RX OVERDRIVER(の無改造品)はモモカワ君のメイン機材なので、僕もこの製品の音は、わりとよく知ってるつもり。

★ギターの音がそのまま歪んでくれる感じで
★音がバリっと前に出る

のが特徴(モモカワ談)。なんですけど改造品の方は、とくに「音がバリっと前に出る」という点が全然ダメになっちゃってるんですね。
RX OVERDRIVERのオリジナルの配線材は「やや細めのビニール被膜単線」ですが、そのほぼ全てが「繊維被膜の撚り線」に変えられています。

黄黒だんだら模様のワイヤーが交換されたものです。これだけ一辺にワイヤー交換すれば、そりゃ音も変わりますわな。しかし元々の回路の特性とかには一切お構いなしに、ともかくビンテージな感じのワイヤーに交換。それで結果がアレアレならば、これは改造というよりも、
壊しちゃった
に等しい行為であると申せましょう。この改造を発注した人(前オーナー)も、これを手放した(から僕の手元に回ってきた)という事は、結果には不満だったんでしょうね。

ハンダ作業は、とくに下手だとか雑だというような事はなかったですが、1個所はずれかかってました。「正しいハンダ付け」のセオリーがきちんと守られておらず、手抜きされ勝ちな個所が、案の定手抜きされておりました。こういう作業をする人は、職人としては二流止まりだなや。

ハンド・ワイヤリングというのは、セオリー通りに、手間を惜しまず行えば最高の品質(それは基本的には、耐久性の良し悪しに関わる問題)が得られますが、
いくらでも手抜き可能
なのもまた、ハンド・ワイヤリングというものの特徴であると申せましょう。その点、自動ハンダで量産される大手メーカー品の品質は正直なものです。

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この品物を僕が入手したのは、2006年の夏頃でした。今から2年前の話しですね。まあその頃は、このテの改造が流行っておりましたね。最近はどうなのか、僕はこっちの世界に疎くなってるので知りません。こういう「ワイヤー一括交換」みたいなばか改造をいまだに受け付けてるショップがあったとしたら、そういうお店はちょっとアレだと思います。

2008/06/22





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