Tony Smithの歪み2台 |
トニー・スミスの歪みもの、OD-60 OVERDRIVEとDS-60 DISTORTIONを2台まとめて。 私なりに考えた、中国製安物エフェクターの音が良い理由その1; これは鈴木茂氏が何かの雑誌インタビューで語ってた事なのですが、ある時期(80年代か90年代)を境に、録音スタジオの機材の音が悪くなっってしまった。古い時代の機材は、内部の配線材などに色々な不純物が多く含まれていて(つまり昔は、金属を精錬する技術が低かった)、その後、製錬の技術が上がると、線材や素子の電気的性質は向上して、それらの組合せで成り立ってる録音機材の性能も当然向上して……のはずなんだけど、何故か音は悪くなった。今から振り返ってみると、昔の線材に含まれていた不純物こそがキモであったのだという、これはビンテージ・ワイヤー愛好家には受けの良さそうな話しです。私は鈴木茂のファンでもなければシンパでもないので、この話しを聞いても「へえそうか」と思うだけですが、 フルートにも似たような話しがありまして。銀管のフルートも、銀の製錬技術が上がった頃に音が悪くなって、どう頑張っても昔のフルートと同じ音のする製品が作れなくなった一時期があったらしい。昔のフルートの管材の成分を調べたところ、色々な不純物が含まれてる事がわかり、その後わざと不純物を混ぜた銀でフルートを作ってみて、ようやく往時の音色を再現出来たという。 中国製エフェクターといっても、素子は日本その他の国から持ち込んで組み立てると思うんですけど(少なくともICは、JRCやモトローラが使われる事が多いと思う。それらも実は中国製なのかも知れないですけど)、線材とか、プリント基板の銅箔とかはどうなんでしょうねえ?あるいは基板を作る際のエッチング液とか(いや、大量生産品にエッチング液を使うかどうかはわからないんですが)、あとはハンダとか、ハンダに含まれる松ヤニとか。こういった諸々が微妙に作用して、中国製安物エフェクターならではの音色が生み出されてるのではなかろうか? 私なりに考えた理由その2; エフェクター1個の原価のうち、最も大きな割合を占めるのは開発費であるらしい。例えば定価1万円の製品なら、物体としての形を成してるもの(基板上のあれこれとかケースとかのパーツ代)は、たぶん1千円以下(これは根拠もなにもない、私個人の想像)。半分くらいが開発費で、残りの4割は販売経費とか工賃、じゃないかな。ともかく、大手メーカーの作るエフェクター=人件費の塊らしいです。 それに比べたら、中国製安物エフェクターの設計過程なんてシンプルなものじゃないかと思います。シンプルというか、設計過程なんてのは無いに等しいかもしれませんね。既製品の丸コピーってのは、流石にしないかも知れませんが、コピーじゃないけど多少アレンジした程度みたいな。開発担当者は一人。せいぜい二人。それで、既製品回路の定数をいじりながら「おっ、これいいじゃん」と思ったところで、あるいは --------------------- という事でトニー・スミスのレビューを。やはり本気ですごく良いという程ではないので、2台まとめて手短に。 「音が全然整理されてない」というのが第一印象です。荒っぽい・暴れる感じの歪み。魅力はあると思います。とくにOVERDRIVEの方は、ストラトに使った場合、低音巻弦のグリン・ゴリンな鳴り方が強調されるのがGOOD。 DISTORTIONの方は、高域が多めに出ているせいかアタックが強調されます。耳障りで汚い歪みですが、サスティン部分に押しの強さ(みたいの)があるのが良。
2008/08/09 |