AUDIX D1

 AUDIX D1は単一指向性のダイナミック・マイク(スーパー・カーディオイド、ハイ・ゲイン・タイプ)。購入したのは約10年前(と思います。正確には憶えてない)。専らスネアを録るのに用いてたのですが、正直あまり良いマイクだとは思えなかった。しかしそれは、私の使い方が悪いからかも知れないという事に気が付いたのが2009年。

 私はこのマイクをスネアに対し、常にほぼベタ付けでセットしてたのですが、それがいけなかったみたい。楽器とマイクの距離や位置関係は状況に応じて細かく調整し、最適なセッティングを見出すよう努めなくてはならない……なんて事は、ものすごく当たり前の話しですけど、それに気付くのに10年掛かった私なわけです。

 「手放す楽器とのお別れ記念録音」でのエレキ・ギターの収音はほぼ全て、このマイクを用いてます(2009年3月以降に録音した分)。耳で聴いた通りに近い音を残すならリボン・マイクを使った方が良いには違いないけど、D1もわりと、アンプから出てる通りの音を再現してくれますし、ダイナミック型ならではの「中低域を厚くする演出効果」もほどほどにある。とても使いやすいマイクだと思います。
 マイクの立て方は、ギター・アンプとの距離を15〜30cm。スピーカーの中心よりやや外側を斜め上から狙ってます。これ以上アンプに近づけると近接効果によるデフォルメが顕著になるので、「お別れ録音」の主旨からすると不適(パワー・コードで空間を埋めたり、巻弦リフでボトムを増強するためのギター・パートを録るなら、アンプにベタ付けした方が良いのかも)。

 AUDIXのDシリーズは、録音よりはPA用の方に重きを置いた設計のマイクだと思いますし、ギター・アンプを録音するためのマイクとしては57はもとより、ゼンハイザーのはんぺんやクジラ等々、定番の機種は沢山あります。Fender/Marshall/VOXといった王道アンプを大音量で鳴らすなら、マイクの選択もお作法通りに従うべきかと思いますけど、当方の使うアンプはYAMAHA YTA-25というマイナー機種、それを近所から苦情の来ない程度の音量で鳴らす宅録、という条件に適したマイクとしてはD1が、今のところかなり良いぞと思えてます。

2010/10/22

inserted by FC2 system