MXL R144

実売価格1万円前後の激安リボン・マイク。2013年10月に2本まとめて購入@成田サウンドハウス。

 ソフトウェア音源、私が使ってるのはNATIVE INSTRUMENTS B4 とEmagic evp73ですが、これらをDAW内に直接書き出した音はマイクで拾った音との位置関係がおかしい、かも知れない。

 そこで通称「一度空気を通す」方法、つまり音源をスピーカーで鳴らし、それをマイクで拾うやり方を試してみたい。そのためのマイクとしてR144を購入してみました。
 B4はロータリー・スピーカー、evp73はステレオ・パンが重要なエフェクトなので、ステレオ録音必須。だから同じマイクが2本必要で、MXL600は2本持ってるけど、これは高域専用。新たに何か買うとしたら2012年に発売されて以来気になってたR144がいいな。リボン=双指向のマイクでステレオ録音というのは変な話しでが、リボンのユニット2つを組み合わせたX-Y式ステレオ・マイクという製品も数種あるし、それに何より私はリボン・マイクの音が好きで、RCA BK-5Bのサブとしてもう1本リボンを持っておきたいとは以前から思ってた。

 それに、ソフト音源をマイクで拾う案はボツるかも知れないわけです。試してみた結果、べつにそんなプロセスは必要ない、という事になるかも知れない。しかしそれでもリボン・マイクなら他の使い道もあるだろうから無駄な買い物にはならない(と思いたい)。

 さらに、ソフト音源だけでなくKORG WAVEDRUMを卓直で録るのもどうも色々問題ありで、これもスピーカーで鳴らしてマイクで拾う方式を試してみる必要がある。打楽器ならAUDIX D4の方が適役だが、リボン・マイクの双指向性が部屋全体の音を拾うなら無駄にリバーブを足さなくても済むという効果も期待出来るので、試してみる価値はある。

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 という事で購入したR144なのですが、激安品ゆえなのか入手早々トラブルが発生。2本の内の片方が明らかに不調品でした。正常な方と比べ、

・高域が不足
・出力低い
・マイクプリのゲインを上げるとサーっというノイズが発生

という症状。低域の、電源ハムを拾ってるようなノイズも出てたかもなので、ハンダ不良等が原因の不具合だったのかも。販売店に報告して交換してもらいました。代わりに届いたものは、低出力とノイズの2点は無問題だが、高域不足なのは相変わらずで出力も若干低い。

 この製品についてのレビューは現状、サウンドハウスの購入者によるものが数件ある以外、ネット上ではほとんど見つけられないのだけど、ノイズが多いという不満が少数上がってる。それと高域が出てる/出てないで意見が割れてるように見受けられる。
 ところがR144は激安系のマイクだから、宅録初心者が買いそうなものという先入観がある。だからレビューにノイズ多いという報告が上がっても、しかもそれがDQN臭い文章だったりすると尚更、どうせ安いプリアンプ使ってんだろで済まされてしまいますわね。すみませんが私も、そこら辺はそういうもんだと思ってました。
 しかし、R144の不良品はノイズ多です、というのを今回、我が身を以って確認した次第です。2本のうちの1本が不良品だから私にとっての不具合発生率は今のところ50%。それはたまたまかも知れませんが、そういう些か偏った観点から想像すると、私以外にも不良品を掴まされ、しかしそれが不良品だと気づかぬままの人も少なくないかも知れないようにも思われてきてしまう。

 ノイズが多いといっても、ギターアンプ等の大音量ソースを録るならプリのゲインをさほど上げる必要はなく、となるとこの件は無視できる範囲の不具合かもしれない、というレベルのノイズ量なのではあります。

 私がもし、2本まとめてではなく1本だけを購入し、しかも運悪く不良品の方を渡されてたなら、どう判断してたであろうか?激安品だし、やっぱこんなもんかなで済ましてたのではなかろうか?高域不足なのも、レビューに「高域は足りない」という意見が複数あるのだから成程そういうマイクなんだなと思ったに違いない。

そう考えるとおっかねえ。2本まとめ買いしといて良かった。

 交換してもらった方はノイズも出力も大丈夫だけど、高域は不足してる。しかしこれも、私が正常品だと思ってる方のが、むしろR144としては高域出過ぎなのかも知れない。SM57と58が別の製品だというなら、私の手元にある2本のR144だって別製品だろこれ、っていうくらい音は違う。

 とはいえちょっと使ってみたところ、正常品(だと私が思ってる方)は並以上の音だと思われたし、交換してもらった方もとくに悪くはない。だから、運よく「当たり」が届けばお買い得品だし、正常か不良かを判断できるスキルのある人なら購入対象としてかまわないであろう。宅録初心者とか、リボンマイクの最初の1本として試し買いとかの人にはオススメできません。

 さらに、マニュアルによると、マイク・プリアンプの入力インピーダンスは1500Ω以上を推奨との事。私が使ってるマイクプリはインピーダンス可変型なのでメーカー推奨通りで使えますが、試みに1k5以下に設定してみると、当然のようにハイ落ち、ゲイン落ちします。

 このマイクに対する評価が分かれる原因はこの点にもあるかも知れません。入力インピーダンス固定型のマイクプリの場合、その値は機種によって様々ですから、運よくマッチするマイクプリを使ってる人にとってはバランスの良いマイクだが、そうでない人にとってはハイの出ないマイクだ、という事になってしまいます。

 この情報を公表しないで売ってる販売店というのもいかがなものかと思う。とは言え、インピーダンスがどうのといったコムズカシイ脅し文句を添えたりしたら、とくにこういう低価格で初心者向きという商品の場合、売れるハズのも売れなくなる。

 私はMXL600は気に入ってるので、このメーカーに対しては好印象があった。しかしR144はけっこう杜撰かも知れなくて、ちょっとガッカリしてるのですよ。

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 正常品(だと私が思ってる方)には赤丸シールを貼って、もう1本のと区別してます。

2013/10/27

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