ART PRO VLA

■2014年6月に中古品として購入@ヤフオク
■ART PRO VLAは、真空管を用いたコンプレッサー/レベリング・アンプ。たしか、1990年代末か2000年代初頭の頃に発売された製品だったと思う。

(現行品はVLA IIにバージョンアップされてます)

 私はこれをMindPrint ANDIと組み合わせるためのものとして購入しました。Focusrite Twin Trakにはコンプが内蔵されているので、Focusriteでボーカル録音をする時は、ほぼ常にコンプをONにしてました。しかし最近Vo.録音用に専ら用いるのは(コンプが内蔵されてない)MindPrintなので、これと組み合わせるための外付けコンプが欲しくなった。一旦コンプ掛け録りに慣れてしまうと、それ無しのVo.録音はちょっと心許なく感じられてしまうのですよ。

 ただ、ART VLAはいかにもコンプ的な、分かりやすい掛かり方をする製品ではありません。というか浅くしか掛かりません。日本の販売店はこの製品を「コンプレッサー/レベリング・アンプ」と呼んでますけど、レベリング・アンプ(Leveling Amp.)とは「出力を平らに均すアンプ」それで、この製品のVLAという名称の内のLAは、
L=Leveling
A=Amp.
の略記で間違いなかろうから、メーカー側は(コンプであるよりも)レベリング・アンプである事の方に重きを置いているのを、製品名ではっきり主張してますですね。

(VはValve、あるいはVactrol-basedの頭文字、だと思う。Vactrolというのはたぶん、光学式コンプの回路設計についてのARTの登録商標。ART VLAはVCAではなく光学コンプなのですね。)

 まあ、レベリング・アンプなどという聞き慣れない商品名では売れるものも売れなくなるだろうし、コンプレッサーとレベリング・アンプとは似たようなものだとも言えるから、宣伝文句に一応嘘はない。しかし2010年代の昨今、コンプには、とくにソフトウェアではないアウトボードの、しかも真空管式のコンプに期待されてるのは、エフェクティブにバコンと掛かる、あるいはブチュっと潰れるタイプの「レトロ・サウンドな汚し役」である事の方が多く、しかしART VLAはけしてそういう効き方をするコンプではない……というこの製品の特徴も宅録愛好家の間では充分認知されてるからなのか、ART VLAの中古価格はお安いです。たぶん不人気商品のようです。しかし私的には先述の通り、Vo.録音時の掛け録り用としてこれを選んだので、浅い掛かり方で充分なのです。あれば安心というだけの補助具。細かい設定なども不要。どうしてもキツめのコンプ効果が欲しい時はFocusriteを使えば良いのだし。

 Vo.録音という用途に限るなら(MindPrint+コンプという組合せではなく)1チャンネルのチャンネル・ストリップを新たに購入するのでも良かったのですが、そっち系で私が使ってみたい製品(なおかつ廉価価格帯の製品)となると、TL Audio Ivoryシリーズくらいしかない。でもそれらの中古はあまり売りに出ないし、しかもTLの中古価格はART VLAと同等かむしろ高額なくらいだし、また、TLはデジタル・アウトを持ってないからA/Dコンバーターも別途用意しなきゃいけないのが面倒だ。だったらARTでいいや。2chは不要だけど、あればあったで便利かも知れない。それに、ART DUAL MPは私の宅録環境がDAWに移行した、その一番最初の頃から使い続けてる製品で、これの音は気に入ってますから、ART社の他製品にも興味があるわけです。それとまあ見た目的に、大型の黄色いVUメーター。ツヤ消し黒のパネルに良く似合う黄色のメーター。これかっこいい。やはりVUメーターは黄色でないと。

 私は1970年代より以前のレトロな工業製品のデザインが好きなので、こういう見た目は大好物です。音の方も、入手直後にちょっと鳴らしてみた感じでは、70年代風だと言えなくもない。先にこの製品はレトロな汚し役ではないと書きましたけど、それは60年代より以前のローファイなレトロ・サウンドではないという意味で、ART VLAは70年代風のハイファイ……今の耳で聴くと全然ハイファイではない、あくまでも70年代風の、という意味でのハイファイっぽい音がしてる、かも知れない。それはそれでレトロなサウンドなのでもあります。今はまだ見た目の印象に引っぱられてそんなような気がしてるだけかも知れませんが。

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 ↑の画像2枚はネットで拾ったものですが、ここから先のは私が撮影したもの。入手直後の内部の様子です。真空管はPhilipsの何かしら。

 ↓こういう、放熱用?のアルミのキャップが被せてあります。

2014/08/22

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