Focusrite Platinum Twin Trak Pro

 2011年8月に購入。オプションのデジタル・アウト用ボード増設済みの中古品。

 廉価価格帯のマイク・プリとしては、申し分ない内容の製品です。基本的な信号経路は
マイク・プリ → 中域カット専用のEQ → コンプ → アウト
で、いわゆるチャンネル・ストリップ的な体裁のマイク・プリ(EQが簡易ですが)。それが2ch分。エフェクト・インサート可能。コンプはサイド・チェーン可能。

 その他、モニター・ソース用IN/OUTと、マイク・プリ・ソースに対する送りFX用SEND/RETURNというのも備えられている。モニター・ソースと送りFXのレベルはパネル前面のツマミで調整可能。
 これは何に用いるのかというと、DAW録音時のレイテンシー問題を解消するため、バック・トラックと録りソースをプリ・アンプの側でミックスしてモニターしてしまおうというものです。プリ・アンプに、簡易なミキサー機能が備えられてるわけです。モニターの出力はパネル前面のヘッドフォン端子。
 録りソースに対する送りFXはモニタリングに対してのみ有効(掛け録り不可)。

 おまけ機能はまだあります。おまけというより、この製品の一番美味しい機能かも知れない、マイク・プリ部のインピーダンス・コントロール機能。マイク・インプットの入力インピーダンスを50〜3.3kΩの範囲で連続可変する事が出来ます。
*)パネルの印字は60〜だけど、スペック表では50〜って事になってる。

 マイクの出力インピーダンスは形式・機種によってバラツキがあるので、受け側を可変にする事で最適な条件を整えようという事ですね。意図的にミス・マッチングにして偏った特性を引きだす、という使い方も可。

 近頃リボン・マイクが人気なので、こういう機能も登場してきたんだろうと思います。一般に、リボン・マイクの出力インピーダンスはダイナミック/コンデンサ・マイクよりも低い。しかし受け側は高くする必要がある(通常の5倍程度)。
 他社製品だと、例えばGRACE drsign m101というマイク・プリにはRIBBON SWITCHというのが備えられていて、これをONにすると通常8.1kの入力インピーダンスが20kになるそうな。ちなみに、Focusrite ISA110の入力インピーダンスは1.4k at 1kHz。

 私的に、ここらへんの数値の相互関係はよく分からないんですけど、インピーダンス・コントロール機能の使い方自体は「ツマミを回して最適な位置を探すだけ」ですから、とくに悩ましい事はない(はず)。

*)クリスタル・マイクの出力インピーダンスは非常に高いらしい。今どきクリスタル・マイクなんて何に使うかと思うけど、ハーモニカ用弾丸マイク等にはクリスタルのものがある。真空管アンプにつなぐなら無問題だが、トランジスタ・アンプだとミスマッチになるらしい。

 AIRというスイッチは「トランスを使った高級プリアンプのサウンド」をシミュレートするためのもので、「AIR/心地よい広がり感」を与えるんだとかなんとか。インピーダンス・コントロールの値がちゃんとマッチしてないと機能しないらしい。


 Focusriteのプラチナ・レンジは「アマチュア向け」という位置付けの製品だからなのか、Twin Trak Proには、近年の宅録環境での「あると便利」な機能がてんこ盛りで詰め込まれてます。正直言って、

ここまでしないと売れんのか★

という感慨さえ湧いてくる程のてんこ盛りっぷりですけど、たしかにここまでしないと売れない今日この頃かも知れませんですね。私はFocusriteというブランド名と、デジ・アウト付き/コンプ付きという点だけで購入を決め、その他の機能については購入後に取り説を読んでから知ったんですけど、知って驚くタメゴロー。これ買えて超ラッキーだったと思います。

2011/09/13
改)2012/06/15

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