国島マンドリン

 国島マンドリン。型番不明、製造年不明。ペグのポストのピッチは23.5mmで、現行規格の23.0mmと概ね同じだから、1960年代以降のものではないかと思います(それよりもずっと古い戦前規格のペグは23.9mm)。

・弦長 336mm
・全長 635mm
・重量 670g

 ラベルの型番欄は空白。尤も、国島マンドリンというメーカーについての詳細な情報は少なく(というか皆無に近い)、だから型番が分かっても、それで何かが分かるというような事もないのではあります。

 国島マンドリンは、おそらく鈴木バイオリン(のマンドリン部門、1906年)よりも後発だろうけど、創業したのは大正期中(たぶん)。1970年代の後半に廃業なり倒産なりしたようだが、個人製作家としての国島氏は、その後もマンドリンの製作を行っていたらしい。

 鈴木マンドリンと比べて国島マンドリンは、ボディとネックの接合部が細く、楽器全体の造作が華奢だという説あり。私の所有機は、ローズウッド系の木材がほとんど用いられておらず、ボディバックはメイプル(あるいはシカモア)。それで重量は670gと軽量なため、なおさら華奢な感じがいたします。

 マンドリンの古物にありがちなネック起きの不具合は当然この楽器にも発生してますけど、それほど酷くはありません。そのかわり表板の、ブリッジ付近が陥没してしまってます。


 購入したのは2003年頃@ヤフオクにて。私がヤフオクというものを利用し始めた、その一番最初の時期の買い物です。
 それまで、私はマンドリンを2度ほど買った事がありました。いずれもGibson Style-Oの安いコピー品(総合板)で、2度ともわりと短期間で手放してしまった。しかし、マンドリンって何故か手元に一台置いておきたくなる楽器ですよね。小さくて場所もとらないし。
 そういうマスコット的な楽器としてはウクレレも人気だけど、音楽ジャンル的に、また楽器の機能としても、ウクレレよりかマンドリンの方がずっと使いでがある。マンドリンはヨーロッパ系トラッドと米国のカントリー、そして日本の古式流行歌のいずれでも重要な楽器ですし、スラブや中南米に多い小型撥弦楽器の代用品として用いれない事もない。マンドリンって意外なほど適用範囲の広い楽器です。だから宅録遊び用の小道具としては、ウクレレよりかずっと良い。

 そこでともかく、さしあたっては必要ないものだけど手元には置いておきたい、だからマンドリンっぽい形をしてれば何でOKで、多少品質に難ありでもかまわないや程度のつもりで購入したのが、この国島マンドリン。

 先述したように、この楽器は表板が弱っていてブリッジ周辺が陥没してるのですが、その対策として、脚部の長い、特注サイズのブリッジを用いてます。
 オリジナルのブリッジは、これよりもずっと幅が狭い。その両端を拡げて、バズバーの上にブリッジが乗るようにしてあります。場当たり的な対処法ですけど、取りあえずこれで実用になるからOK。

 ただ、弾かない時は弦を緩めておくようにはしてます。張りっぱなしにしておくと陥没が進行し、やがては楽器全体が変形してしまう事でしょう。
 私の所有する20数本のギター&ベースは全て、常時レギュラー・チューニングにした状態で、ケースに入れず室内に出しっぱにしてますけど、このマンドリンだけは、そういう扱い方はNGですね。

 ちなみにこの改造ブリッジ、見た目は素人仕事っぽい仕上がり具合ですけど、お茶の水の下倉バイオリンに預けて作ってもらったものです。下倉バイオリンはマンドリンも扱っていて、専属作家的な何某さんがいて、その人がこのブリッジを作りました。


 ペグはGOTOHの現行品に交換してあります(2003年当時の現行品という事ですが)。なお、ヘッド表側のブッシュは用いてません。
 オリジナルのペグは、

こういうもの。錆が酷く回転がスムーズでないうえに、ツマミが小さくて回しづらいものでした。
 ただ見た目的には、やはりオリジナルの小さなツマミの方が似合うと思います……と思ったらGOTOHから、ツマミもベースプレートの形もオリジナルのペグに良く似た製品が発売されてた(MA40)。最近の製品なのかな?しかしこれまたなんというか、悩ましい商品を作ってくれるものだよな。


 テールピースも新品に交換してあります。


 私は、ギターとベースを弾く時は指弾き中心で滅多にピックは用いませんけど、マンドリンはピック弾きオンリーです。音色的には、やはりベッコウ製ピックが圧倒的に良いのだけど、技術上の問題その他の理由から、主に用いるのはGroove Tubes POWER PICK。これを使うと右手首の負担を減らせる(ような気がする)。ギター用としてはたぶんイマイチなアイデア商品だけど、マンドリン用としてはけっこう良いと思ってます。

2012/09/22


■弦交換の記録

 銘柄コメント等
2003〜


OPTIMA
CHROMESTEEL

銘柄はオプティマの赤一択。
交換時期の目安は「切れたら張り替える」
だから巻弦とかは、もう10年近く張りっぱなんじゃないかな。

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