thumb A5 copy、ピックガードを自作

 入手時、ピックガードは欠品でしたが、右手の小指・薬指の支えとして、ピックガードはあった方が弾きやすい。見た目的には、ピックガードがある方が私は好き。なので自作しました。

 ギブソンA5のピックガードは黒-白-黒の3Pですが、せっかく自作するなら一色変わったものをと考えベッコウ風にしました。厚さ2mmの透明アクリル板に、0.5mmくらいのベッコウ柄プラスチック板を貼り合わせてます。
 このベッコウ柄の板は、いつ買ったかもう思い出せないくらい昔、たぶん1980年代の末頃に銀座伊東屋で買ったものです。いつ買ったかは憶えてないけど伊東屋の値札が貼ってあったから、伊東屋で買ったのだという事は分かる。消費税導入前の値札かも。となると1989年4月よりも前。その頃の伊東屋は、こんな素材も扱ってたですね。商品撮影に使う小道具として買ったのだと思う。だから何も加工などせず30年近く温存してました。お値段は¥800。
 現在のギター用の模造ベッコウ板は、どれも見た目がイマイチか、イマイチじゃないのはベラボウにお高いから、大昔にこれ買っといて良かったです。

 ただ、本物のA5のボディ・カラーは鮮やかなレッド・サンバーストで、それに黒いピックガードが組み合わせられてる。対して私のは、渋いタバコ・サンバーストのボディにベッコウ柄の組合せで、これはちょっと地味というか、なんか和風テイストな見た目になってしまったかもですね。タバコ・サンバーストに黒いプラ板を組合せると重い/暗い雰囲気になりそうで、だから半透明の、柔らかい感じの素材を選んだのですが。
 尤もこのフラマンはギブソンのコピー品とはいえ日本製品なのだから、見た目が和風になってもなんらおかしい事はない(とも言える)。私自身は、とても気に入っておりますよ。

 ピックガードの、ネックに接する側の直線は、サウンドホールに被さる部分を抉って(えぐって)ます。こういう改造例があるのを知ったので、それに倣いました。ピックがピックガードに当たらないようにするための工夫です。


 ヘッドのツキ板は3層重ね貼り。シンプルだけど美しい装飾です。ピックガードの材質を、このヘッドと同じにしてみようかという案もありました。しかしそのためには、
・必要な材料の入手
・それを加工する技術
・木製3Pの薄板が経年で変形してしまう可能性
等々、難しい問題がいくつもあるので没。
 ベッコウ柄ピックガードにしたら和風になったけど、ローズウッド柄なら「英国風の書斎に置かれてる調度品」みたいな雰囲気になったかも。それはそれで悪くはないような気もします。


ピックガードの取り付け方について;

 この楽器は、指板エンドの側面に細いピンが2本差してあって、それを用いてピックガードを取り付ける方式のものです。なんですけど、私はそのピン正しい用い方を知らなかったため、↑の画像のように加工しました。厚さ2.5mm程のプラスチック板の断面にφ1.2mmのピン・バイスで穴を開け、本体側のピンに嵌め込んであります。しかしこのやり方は間違いでした。

 正しくは、エレキ・ベース用フィンガーレストの超小型版みたいな木片を、指板脇から出てるピンで固定し、その木片にピックガードを取り付ける、でした。

 いや、そうなのかもなとも思ってましたよ。厚さ数ミリの板の断面に細い穴を正確に開けるなんて難しすぎる加工ですから。実際、私のは少し失敗していて見た目が汚らしくなってしまった。強度面の不具合はなく、しっかり固定されてます。
 本来の取り付け方にすると、ピックガードの上面が指板とツラ位置か、下手をするとフレットよりも上になってしまいそうなので、それもちょっとどうかと思ったのですね。尤も、フラマンで12Fより上を使う事なんて殆ど無いのですが。
 ピックガードを指板脇のピンで止めるのは、たぶん1940年代よりも以前の古い製品に用いられた方式で、その頃のピックガードは薄かったから、この留め方でちょうど良かったのかも知れません。

 この指板脇のピンの用い方についてはネットでも色々調べてはみました。しかし日本でのフラット・マンドリンはマイナー楽器なので、日本語サイトの情報量は少なく、となると英文サイトが頼りなのだけど、この疑問に答えてくれるページを見つけるのに必要な検索用キーワードを思い付く事が出来ず、結局わからずじまいでした。ところがこのリペア作業を終えた数週間後、たまたま立ち寄ったお茶の水の楽器屋に、この古い方式でピックガードを取り付けたフラマンが展示されていた。百聞は一見にしかずで、現物を見てようやく正解が分かったです。

ちなみに、製造時期が古いフラマンでは、バイオリンのアゴ当て用の金具を用いてピックガードを止める場合もあるようです。そのやり方なら、楽器本体にネジ穴を一つも開けずに済みます。

2015/03/03
(改)2016/11/12

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