thumb A5 copy、2016年9月、指板エンドを削る

 2014年末に裏板をリペアし、使える状態になって一年以上が経過。その間まあぼちぼち弾いてましたが、となるといくつか不満な点も出てくる次第で、その一つが指板エンド。

 thumb A5コピーのフレット数は26。しかしフラット・マンドリンで12Fより上を使う事なんて滅多にないし、たまに使ったとしてもせいぜい17。もしかしたら使うかも知れない20くらいまで、あってもいいけど無くてもいい。けど、どちらかというと無い方がいい。指板が長いとピッキング位置がブリッジ寄りになって、ノイズ成分の多い耳障りな音色しか使えなくなってしまうので。

 ブリッジに右手を置く弾き方だと、ピック先端がちょうど23〜26F辺りになって、ピックが指板にコツコツ当たってしまう、という事もあります。

 A5は26までだけど、F型だと30以上ある。それはもう完全に装飾のためのもので、高級品なほど装飾も豪華だから30以上。弾きづらさは更に深刻。なので不要なフレットを抜き取り指板を削り下げる改造例が、F型ではわりと多く見うけられます。
flat mandolin fingerboard shave -google検索

 F-5は指板の"decorative tongue"が"seet spot"と干渉して云々。本場のマンドリン奏者にとってもこの長すぎる指板は厄介者らしい。という事で私もトライ。26あったのを21Fまで減らしました。



(2016年9月26日撮影)

21Fまで残したのは、ピックガード固定用のピンが21Fにあり、この部分の指板材は削れないからです。


 ネットでF型の画像をいろいろ見た感じでは、F型の指板材はA5よりも厚い。いや、本物のA5はどうか分かりませんが、私のthumb製A5コピーよりかはずっと厚い。というか私のは薄い。
 F型なら、その厚い指板を削れば弦と指板面との間隔は充分広くなり、その位置でピッキングできるようになります。だけど私のthumb製A5は指板材が薄いから、あまり削り下げられない。それでも自分の技術で可能な限界まで低くしましたが、結果、この削り下げた位置でピッキングすると、やはり時々ピックの先端が指板面に当たってしまいます。

 とはいえ改造前よりかはずっと弾きやすくなったのは間違いなく、それとトレモロ弾きならOK。トレモロの時はピックを浅くしか使いませんから。ピッキング・ノイズが耳障りで一番困るのはトレモロで、それを以前よりもずっとヘッド寄りの位置で弾けるようになったのだから、この改造は概ね成功だったと思います。


 指板を削る作業は思いのほか簡単でした。きちんと平らに削らないとかっこ悪い。しかしそれは難しそう、と思ってたのだけど、この指板はフレット溝がかなり深く切られてて。どのくらい深かったかと言うと、今回削り下げた位置まで。つまり、フレット溝がそのまま切削のためのガイドになってくれたです。なので溝に沿って彫刻刀の「丸」で粗彫り。「平」で平面出して、紙やすりで仕上げ。電動工具は使わず、小一時間で済みました。何カ所か傷が入ってるのは丸で掘りすぎた跡です。

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 なお、ネック寄りの位置でのピッキングを完全にストレス・フリーにしたいなら、指板エンドをネック材のツバ出し部分ごとバッサリ切り落とせば良い。だけどそれは「取り返しの付かない事をしてしまった」と後悔する可能性が高いのでやりません。そこまでの大改造が必要なら、別のマンドリン--元々指板が短いA型とか--を買い直すべきでしょう。

2016/11/13

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