YAMAHA LL-6J

 ヤマハのLL-6Jは定価6万円の廉価なフォーク・ギター。販売期間は1994〜2004年。

・表板はスプルースの単板
・サイド&バックはパリサンドルの合板
・ネックはマホガニー
・ブリッジ&指板はパリサンドル。

 弦長は651mmで、ボディ形状はヤマハジャンボ。マーチンのドレッドノートを日本人向きに多少フェイク(小型化)したようなものだと思う。

 2002年頃に中古で購入。改造個所はありません。修理歴もない(と思う)。ボディ裏面にはヤマハの塗装にありがちな白濁が少々発生してます。


 私が今までに所有した事のあるフォーク・ギターは、

・小学生の時に買ってもらったMorris F-15。もう弾く事はないけど現在も所有。想い出の品ですから。
・Martinの12弦。12Fジョイント。型番は忘れた。60年代製(だったと思う)。売却。
・GibsonのB-25(だったと思う。もしかしたらLGシリーズだったかも)。売却。
・そしてYAMAHA LL-6J。

 全部で4本ですね。MartinとGibsonを入手したのは1990年代の中頃ですが、90年代の末頃ちょっと金欠した際に放出。とくにGibsonのは結構気に入っていたので、これを手放したのは悔やまれる。その後、フォーク・ギターを所有してない数年間があったのですが、自分的に、フォーク・ギターはそれほど常用しないから無くてもさほど困らない。とはいえ、やはり持ってないと色々不都合もあり、安物でいいからとりあえず1本持っておこうという意図でLL-6Jを購入。

 買ったのは大久保の中古楽器屋で、値段は忘れましたけど、定価6万の中古ですから3万円くらいだったはず。同価格帯のモーリスやCat's Eyesと弾き比べたりもしたんです一応。そういうのの中で一番良かったのがLL-6J。

 とりあえず1本という事で買ったものの、2005年頃からテスコ類を手にするする頻度が高くなり、またフルアコを入手したりもして、生ギターを弾く機会は全く無くなりました。LL-6Jは部屋の隅の壁にぶら下げたまま放置。弦はレギュラーにチューニングしたままで

 2008年か9年になって、あんまりほったらかしにしておくのも良くないと思い久しぶりに弾いてみたところ、ネックもブリッジも正常。どこにも不具合無し。これには驚いた。

 よく「楽器は生き物」とか言うじゃないですか。木は呼吸してる、コンディションは日々変化してる等々。とくに鉄弦アコギは強度的に無理な部分が多い設計の楽器ですから、弦を張ったまま何年も放置したりしてはいけないとされてますけど、ヤマハのこれは全然オーケー。

 普通のアコギが「生き物」なら、LL-6Jは「ホルマリン漬け」みたいなものか?

 べつに貶してるわけじゃなくて、私にとって楽器とは「丈夫が一番」ですから、LL-6Jは最高の鉄弦アコギです。この丈夫さに惚れ直し、再び手にする機会が増えた今日この頃です。弾きやすさも上等。ヤマハジャンボという形状は、日本人の体格でも扱いやすいギリギリ一杯の大きさなんじゃないかなあ(私は身長172cm)。

 音的には、「鳴り」を適度に抑える事で合板の残念な感じがバレないように設計されてる(ような気がする)、というような音です。少しOvationっぽいような感じがしなくもない。リード・パートを受け持つには役不足かも知れないけど、宅録環境でバッキング・パートを作るためのギターとしては扱いやすいと思う。総単板のフォーク・ギターは音量デカ過ぎで、防音などしてない一般住居でコード・ストロークするなんて無理ですから。

2010/10/31

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2014年5月追記;

 2013年末から14年の春先にかけて、LL-6Jのパーツを3カ所交換しました。まず、2013年12月にペグを交換。


(ロッドカバーを外した状態で撮影してますが、現状はまだいろいろ調整中なものですから。)

 もともと付いてたのはグローバー型ロトマティックの金メッキ(ヤマハのロゴ入り)でしたが、それを同型の銀メッキ、ノーブランドの安物に交換。これ、もとのペグに不具合があったわけでもなく、だからべつに交換する必要はなかったのではあります。
 しかしYAMAHA SG-1000を手放す事になって、となると出来るだけSG-1000の方をオリジナルに近い状態に戻したい。SG-1000のペグはこれの金メッキ版で、しかしそれはずっと以前に放出済み。なので、見た目が似てる新品を買って取り付けたら良いのでしょうけど、手放す楽器、しかも元々は青ペンキで塗りつぶされた半ジャンク品に本物グローバーやゴトー製品を奢ったりするのは少々お金がもったいない。とはいえ腐ってもSG-1000なのですから、あまりにも安っぽいパーツをテキトーにくっつけて放出するのもいかがなものか。
 だったら、SGと同じヤマハ製品で、金メッキだしツマミの形も概ね似てるしLL-6Jのペグを移植するのが良かろうと考えたのでした。それに、LL-6Jは定価6万円の廉価なフォーク・ギター、それにゴールドパーツって不釣り合いだとは以前から思ってた事なのでもあります。

 という事で交換したこのペグ、先述したようにノーブランド品の安物です。新品で¥1,980也。機能的には何の問題もありません。止めネジの位置がオリジナルとは異なるので、元のネジ穴は埋めてあります。
 なお、どうせ交換するならロトマティックではなくクルーソン系にする案もあったのですが、それは今回は見送りました。ペグは軽ければ軽いほど良い、というのはメイプル材のネックには概ね常に当てはまる原則だけど、マホガニー・ネックの場合はちょっと事情が違う(かも知れない)。以前、トーカイの安いフォーク・ギターのペグをロトマティックからクルーソンに交換した事があって、しかしそれは失敗だった。私はLL-6Jの音に対してとくに不満は無いのだし、だったら無闇に仕様を変更すべきではない。

 なんですけど、ペグを交換した流れでついでにというか、ブリッジピンとサドルも交換してしまいました。
・ブリッジピンはgraph tech TUSQ PP-1142-00、2014年3月に交換。
・サドルも同じくgraph tech TUSQのPQ-9200-00、2014年4月に交換。

 ペグ交換するためには一旦弦を全て外しますから、その時にもともと付いてたサドルを改めて観察してみたのですが、それは安物ギターにありがちのプラスチック製で、しかも木部の溝幅に大して薄すぎる(サドルが溝の中でパカパカ遊んでしまうくらい)。LL-6Jの現状の音に不満は無いですが、流石にこれは交換すべきと思いました。私はグラテク信者ですから、当然のようにTUSQを選択。

 それでブリッジピンも、もともとのはプラスチック製のだったので、これもTUSQに交換。プラ製の安物でも機能面の不具合はないし、ブリッジピンの材質で音色がどーこーという事もなかろうし、TUSQのブリッジピンは2千円もするし、あと世評的にはサドルとブリッジピンの両方をTUSQにすると音が変わりすぎる=高域が強調され派手すぎる音になるという噂もあって、だからブリッジピンも交換するかどうかは迷ったけれど、自分にとってのLL-6Jは今後もずっと使い続ける楽器だろうから、ならば思い残すことなく、やろうと思った事は全て済ませておくのが気分良いです。仮にTUSQブリッジピンの音が良くなかったら、元に戻せばいいだけの事ですし。

 ヤマハのサドルに対してジャスト・サイズのTUSQサドルは無く、厚さが概ね合致するのがPQ-9200-00。ただし高さと長さはヤマハ製よりも大幅に大きい。それを整形し直して装着しました。厚さはブリッジの溝に大して少々キツめ。しっかり食い込む頃合いにしてあります。

 以上3カ所のパーツ交換を行った結果、音色はかなり変化しました。弦は、お金をケチって2012年10月に交換したD'Addario EJ13をそのまま張り続けてるのに、それでもなんか別の楽器になってしまったかと思うくらい音が派手になりました。この点は確かに世評通りですけど、それよりもサスティンが長くなったのが自分的には一番うれしい。軽く弾いても音が自然にスーっと伸びて、弾きやすいし快適です。

 音が派手になったというより「曇りが取れたようだ」と言い表す方が適切かも知れない。障害物が取り除かれ、LL-6Jのボディから引き出し得る全てが鳴り始めた感じ。いやそうではなく、カンフル効果的というか、なにかいけない薬物でハイな気分が演出されてるだけではないのか?TUSQを嫌う人は、これの音に薬物臭を感じるのかも知れませんですね。

 いっぺんに3カ所もパーツ交換したせいで、この変化の一番の要因が何かは分からない。まあサドルの違いが最も重要なのには違いなかろうけど、ブリッジピンをTUSQしにた効果が、そこにどのくらい加わってるのかが分からない。こういう改造する場合、本当は1カ所ずつ変えてくのが原則です。しかし今回はそれを面倒くさがってしまった。でも現状には大満足なので結果オーライです。

2014/05/17(改)


■弦交換の記録

 銘柄コメント等
〜2010/02Martinのライト・ゲージ細かい銘柄は忘れてしまったけど、たぶんM-1100 MARQUISだったと思う。
チリチリした倍音が悪目立ちする巻弦。LL-6Jとの組合せは×。
2010/03〜Martin M130
SILK & STEEL
ネックがダメになりかけてるYAMAHA FG-130に張るためにコンパウンド弦を購入。3セットまとめ買いしたから、ついでにLL-6Jにも張ってみた。LL-6Jとコンパウンド弦は、たぶんミス・マッチだろうという先入観があるせいか、やっぱりミス・マッチなような気がする。いや、常識的に考えたらミス・マッチにきまってるんだけど、LL-6Jの設計はけして常識的なものではない(かも知れない)から、瓢箪から駒的な結果が出ないとも限らない。なんだって「ものは試し」です。それで、結果としてはやっぱりミス・マッチなような気がするっていう。

 しかし張りっぱにして1年以上経過して、これはこれで悪くはないような気もしてきました。フォーク・ギターを複数持ってるなら、こういう音のも1本あったら良いよね。でも「コンパウンド弦を使う」ことを主眼に2本目のフォーク・ギターを選ぶなら、それは当然ニューヨーカースタイル系となるであろうから、どのみちLL-6Jをコンパウンド用にする事はないわけだ。

2012/10/12〜D'Addario EJ13
80/20 Bronze
Custom Light
011-052

2年半ぶりの弦交換。
ダダリオの、2番目に細いセットです。Martin M130というテンション緩い弦(0115〜047)に長期間馴染んでしまったので、これ位のものからアコギ標準に戻していこうと思う。
しかし私の使用目的は宅録のみだから、べつに無理して太い弦を張る必要もないのではありますね。ただ、5〜6弦には「暴れる」感じが欲しい、プレーン弦はリードを弾きやすい方がいい、という希望はあって、だからいずれは、自分独自のセットを組む事になるのかな?

2014/08〜Martin M130
SILK & STEEL
0115〜047
ブロンズ弦に戻して約1年ほどした頃、自分がフォーク・ギターに求めてるのはやはりコンパウンドの音の方なのかもという気がしてきた。
まあ音の好みは年々変化してくのでもありますし。
ともかく再度Martin M130を張りました。当分はこれで決まりになるんじゃないかな。

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