YAMAHA SJ-500(改)

 自分にとってこのSJは「テスコのゴールド・フォイルPUを鳴らすためのメインのエレキ」という役割を担うものです。

 購入したのは1999年。その年の夏、私は船上で10日間、ダンパのバックバンドを勤めるという仕事を請け負いました。バブル経済期の最後の余波とでも言いますか、当時は私のようなクズ・ギタリストにもそういうおこぼれが回ってきてたわけで、その事自体はとても有難い話しだったんですけれど真夏の海で10日★そこにまともなエレキを持っていくのはヤダから、使い捨て用として買ったのがこのSJです。当時の私はヤマハ製品に対して、とくに良いとも思ってなかった。使い捨て用なんだからホント何でも良かったんだけど、お茶の水に行って、たまたま目に留まったのがSJ。

「そういえばこういうの、あったっけねー(笑い」

というくらいの認識で、何が気に入ったのか今となっては思い出せないけど、確か値段は¥29,800だったというのは憶えてる。使い捨て用としては予算オーバーだが、なぜか買ってしまったSJです。
 コーネル・デュプリーがSJシリーズのカスタム機を使ってるという認識は、当時も当然あったとは思うんですけど、私の中でデュプリー師とSJってイマイチ結びつかない。スタッフのメンバーとして来日した時はテレだし、デュプリー師のモノマネをするつもりならテレを使うべきだと、それは今でもそう思ってます。

 とまあ、なんで買ってしまったのかもよく分からないようなSJですけど、楽器との腐れ縁とはこうやって始まるものなのか、その後SJ-800も含め、全部で4〜5本のSJシリーズを買い集めたわたくしです。現在手元に残ってるのはこのSJ-500が1本だけですけど、それ以外に4本か5本(正確に憶えてない)。C.デュプリーやスタッフのコスプレ的モノマネをするならテレだけど、C.デュプリーが弾いてる事を真似するのに適してるのはSJです(というのに気付いたのは2005年頃。気付くの遅すぎ)。それ以来SJはお気に入りの機種となり、ちょろちょろと何本も買い集めてしまった。

 それと、黄金期ヤマハのメイプル・ネックには柾目材のものが割と多く含まれてるんですが、SJシリーズの場合、500より高い800の方が柾目である確率が高いのか?また、柾目と板目では音が違うのか?そういう事を確かめたいという理由もあって、出来るだけ多くのSJを集めてみようと努めていた一時期があったんですね。今となってはわりとどうでもいい事ですけど。


 私のSJが現在の仕様となる前の画像も載せておきます。

 PUは3つともFender Lace Sensorですが、リアは赤でフロントは青と金。レースセンサーのショールームみたいな状態。

 ネックはSJ-800のものに載せ換えてました。ペグはGOTOHのロック式。かなり柾目度の高いネック材です。

 配線はこんな感じ。何がどうなってるかの説明は略しますけど、かなり凝ってるものです。PUをマウントするためフロントのザグリを拡げ、それ専用のエスカッションも自作などし、だからこの改造はかなりの力作だったんですけど、
音はぜんぜん良くなくて★
作業量が多かった分、萎える度合も多かった。完成させたのは2003年頃ですが、全く弾く気が起きず2〜3年放置。その後、現在の状態に組み直しました。


 現状の画像をもう一度。ネックはSJ-500に戻してありますが、99年に買ったのとは別個体のもの(のはず。何度も組み替えをくり返してるうちどれがどれだか分からなくなってしまった)。
 現在のネックも柾目度はかなり高いです。というか自分が今まで手にしたSJの中で一番柾目度が高いかも。しかしこれは虎杢入りネック材なのでもあります。虎杢入り=クソ材ネックという通説通り、かなり波打ってしまってます。
 柾目材は板目材より硬くて丈夫なはずなんだけど、杢が入ってるとやっぱりダメなのかな?フレットもだいぶ減ってるので、バズがあちこちで発生してるという現状。だからこのネックは売り物になりません。手元に数本あったSJを順次売却処分していくと、最終的には売り物にならない個体だけが手元に残る寸法で、フロントのザグリを拡げてしまったボディとグニャグニャ曲がったネックの組合せ、それが私のSJですって事ですねー。

 ただ、ネックが波打ってるわりには、それほど弾きづらくはないのが不思議といえば不思議。もちろんバズが発生してる以上、いずれは(というか出来るだけ近々に)フレットを打ち換えなくてはいけないんですけど、現状でもなんとか実用になる範囲の不具合に収まってくれてます。

 フロントPUはテスコ・ゴールド・フォイル。エスカッションは1mm厚のアルミですが、これは2mm厚のものに替えたい。形状は無駄にデカくて不格好ですが、通常のハム用ザグリよりも穴を拡げてあるので、それを隠すためにはエスカッションを大きくせざるを得ない。いっそ、ピックガードと一体化した大型のプレートにPUをマウントする式に作り替えようかとも思いますが、そんな工作よりも他に優先させなければならない作業が沢山ありますんで、それは遠い将来のお楽しみ。
 ゴールド・フォイルは指先の当たるコツコツ音を拾いやすいPUなので、フィンガー・ピッカーである私にとっては辛いものがある。ですので、薄いビニールシートか何かを被せてみようかという考えもあります。

・リアPUはオリジナル。これはこのままで良いと思ってます。
・サドルはグラフテックに交換。オリジナルのダイキャスト製サドルと比べ、3倍くらい良い音。
・ボリューム・ノブはオリジナル。この位置もツマミの形も、小指で操作するバイオリン奏法に最適。
・トグル・スイッチの位置は右手が当たりやすいので、トーン・ノブの位置と交換したい。
・トーン・ノブはチキンに交換。文字盤を付けてますが実用上の意味はありません。ただのお飾りです。

 ペグはフェンダーF-Key。オリジナルは重たいロトマチックだけど、「ペグは軽ければ軽いほど良い」という考えから交換。音的には交換して正解と思うのですが、精度・安定性はイマイチなので、そのうちGOTOHの新製品(ステルス・キー)に交換する予定。

 ボディ材は表がメイプルで裏はアルダー。ギブソン式ラミネートなら裏をマホガニーにするのでしょうけど、SJはテレキャスのフェイク。つまりフェンダー系。つまり基本になるのはアルダーで、そこに「70年代末風の味付け」としてのメイプルを足した(んじゃないかな)。ただ、ボディ厚44mmの内、メイプルは約28mm。メイプルの成分が多いです。レスポールのメイプル:マホの比率と逆。グヤのマロリーはメイプル100%なエレキですが、SJも案外メイプル80%くらいはありそうで、ボディ材による基礎キャラは2材のラミネートというより、ほとんどメイプルがメインかも知れませんですね。

2010/10/31

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2014年1月追記;

フロントPUのマウント方法を変更しました。

 ザグリ内部に直径12mmの丸棒を2本立て、それにネジ止めしてます。丸棒を介してのダイレクト・マウントみたな状態です。高さ調整は、丸棒とPUとの間にスペーサーを入れて行う方式。現状の高さはボディ表面とほぼツラ位置で、かなり低めです。リアPUもかなり低位置ですが、それでもフロントの方が音量小さい。しかしPUに指が当たってノイズ発生する度合はかなり減った。もう1mmくらいは上げてもいいかも。

 ザグリの左右幅はPUとちょうど同じくらいですが、上下には隙間がある。現状はここにウレタンスポンジを詰めてます。いずれはもっと体裁の良い目隠しを誂えたいのだけど、このギターはリアPUも交換するかも知れない。となるとリアのエスカッションも作り直す事になり、両方で統一性のある見た目にしたい。だからリアPUを交換するかしないか、交換するとしたら何を載せるか、それが決まってからでないとフロントの目隠しをどうするかも決められないです。

 なお、このフロントPUをDeArmondに交換する案もあったのです。長らくYAMAHA AE-2000に載せてたDeArmond PUですが、この組合せは廃する事にしたので、DeArmond PUの新たなマウント先を選定中。それで、わざわざ真鍮板で足を作りSJ-500に載せてみる等の工作を2013年12月に行ってたのですよ。ところがDeArmondとSJの組合せは意外なほど良くない音で、
・やはりSJのフロントにはテスコ・ゴールドフォイルが合ってる
・DeArmondは何に載せても良い音なわけではない
という2点を再確認した昨年末だったです。

 ついでにこれも以前からの懸案だった、トーン・ノブとトルグ・スイッチの位置交換を行いました。テレキャスのわりと定番の改造法に「コントロール・パネルを上下逆さに付け替える」というのがありますけど、それと同じような事ですね。

 更に、ナットをgraph tech Black TUSQ XLに交換しました。SJ-500にジャストサイズのは当然ありませんから、エピフォン用Slotted(PT-6060-00)という、かなり大型のものを整形して使用。ちょっと横幅を削りすぎてしまった。
 このギターはベンドした時のチューニングの狂いがけっこう大きかったのですが、ナット交換でだいぶ改善しました。ペグの品質に問題があるのかと考えてましたが、現状でとくに問題なしです。ただGOTOHのステルス・キーに変えたい気持ちはまだあります。

 今回あちこち手直しをするのに先だって弦高を高めにセットし直してみたのですが、そしたら1弦開放がバズるようになってしまった。なんでそんな症状が?弦高を変えたせいかどうかも定かではなく、じゃあまあナットを交換してみましょうという事になったのですね。オリジナルはチープなプラスチック製で、けっこうヤレてもいたのだし。
 しかしナット交換してもバズは消えなかったので、しかたなく1〜2弦にリテーナーを取り付けました。なるたけナットから遠い位置で軽く押さえ付けてるだけですけど、これでバズは消えます。現状のローラー式リテーナーは見た目的にはよろしくないので、いずれ別製品に交換する予定。
 6弦のペグ・ポストには最適値よりも2巻き分長く弦を巻き付けてあります。もちろんこんな状態はよろしくないのだけど、セッティングを色々変えてみた一環で、こうしたらどうなるのかをちょっと試してるのです。使用弦は相変わらず激安系の009〜042。

(改)2014/01/03

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2014年5月追記;

 ストリング・リテーナーをGraphtech Black TUSQ PT-7004というのに交換しました。外観はこれもなんだかイマイチな物なのだけど、写真で見る分にはそれほど変じゃないかな。機能的には、前に付けてたローラー式のよりは良いと思います。

(改)2014/05/09


■弦交換の記録

 銘柄コメント等
 1セット¥100とかの激安弦
009〜042
改造やパーツ交換をまだまだ多数行う予定なので、現状は安弦を仮張り……とかゆうてるうち改造作業も進まぬまま、もう1年近く激安弦を張りっぱにしてる。
2014/05/09〜ghs NICKEL ROCKERS
EXTRA LIGHT
009〜042
ようやくSJ-500にもマトモな弦を張りました。まあ今までのでも充分良い音だったですけど。
ghs社のNICKEL ROCKERSは"ROLLERWOUND STRINGS"=ニッケルワウンドの弦をローラーで潰した、いわゆるハーフ・ラウンドの弦。

テスコのPUが開発された頃に一般的だったのはフラット弦だったから、テスコPUにはフラット弦の方が合うのではないか?
それと、70年代より以前い録音されたのと同じ音を出したいならフラット弦を使うべきなのかも。
という2つの理由から、ソリッド・エレキにフラット弦を張るのを一度試してみたい。しかしテンションその他の点でフラット弦はいろいろ面倒なので、ではハーフ・ラウンドならどうだろうか。という事でこのセットを買ってみたのが、もう3年くらい前。あんまり放ったらかしで無駄に腐らしてもしょうがないので、取りあえずSJに張ってみました。

2014/08/30〜ROTOSOUND TOP TAPE
RS200

ERNIE BALL
ghsのハーフラウンドを張ってみたところ、ラウンド弦と大きく違うようには思われず、とくに古っぽい音になるという事もなかったです。なので今回はフラット弦にしました。
最近、SJ-500のリアPUを「普通のテレキャスっぽい音」で鳴らせないものか、色々試みてます。フラット弦にしたのは、その試みの一つでもあります。
ただ、3弦が巻弦なのはイヤなので、それとフラット弦は太めのセットしかない。ROTOSOUND RS200は012〜052のセットです。なのでこのセットの6弦は捨て、バラ弦の009を足して、3弦がプレーンの

009-012-016 024-032-042

という組合せにしてみました。ROTOSOUNDにした理由は安いから。成田サウンドハウスで¥700。ダダリオより¥500も安いんですよ☆フラット弦が千円以下って、今まで見た事ないです。
1弦がERNIE BALLなのは、たまたま手元にあった唯一のバラ弦がこれだったからです。

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