YAMAHA SV-100 |
YAMAHA SV-100は1997年に発売されたヤマハ製サイレント・バイオリンの第一号。ちなみに「サイレント・バイオリン」はヤマハの商標なんだそうです。定価は¥69,000-。弓、ケース、肩当て等の小道具一式を揃えたセットは¥115,000-。 --------------------- 私は以前、普通のバイオリンを所有してました。購入したのは2002年頃。
しかし2003年に三味線の稽古を始め、その約2年後の2005年頃、このバイオリンは手放しました。三味線を弾くには左手人差し指の爪を伸ばしておくのだけど、そうするとバイオリンは弾きづらい。ギターに関しては、私の押弦フォームは指をベッタリ寝かせるスタイルなので支障ないけど、バイオリンは指を指板に垂直に立てるから、爪が伸びてると具合が悪い。 --------------------- 私はバイオリンを弾けるようになりたい。なので1990年代の頃から断続的に練習を続けてるのだけど、いまだに初心者レベルのままです。 最初は1992年頃、つまりもう20年くらい前になりますが、当時知り合いだったバイオリニストが楽器を貸してくれて、それでちょっと練習してみた。しかしまるでモノにならず、たしか半年もしない内に楽器を返却したように記憶してる。 合理性を優先するなら、(バイオリンに限らず)自分が弾けない楽器をアレンジに混ぜる場合は打ち込みで作るべきなのだとは思います。しかし私は自分の宅録に打ち込みパートを混ぜるのは気が進まない。それに本当は、バイオリンがアレンジ上どうしても必要なわけではない。無いなら無いでべつに困らない。だから、自分が「バイオリンを弾けるようになりたい」という気持ちは、実際の必要性とはまたべつの事柄なのです。 ともかくそういうわけで2010年頃からバイオリンを買い直したいと思い始めてたのだけど、生バイオリン(普通のアコースティック・バイオリン)は音量が大きすぎて練習しづらいものだというのは前回までの2例で経験済みだから、今回はサイレントにしてみました。 ---------------------
入手後、ネック裏は紙ヤスリを掛けて塗装を剥がしました。スベスベでないとポジション移動しづらいので。
肩当て・あご当ての位置や形状を好きに選べないのがこの製品の弱点の一つなのだけど、どれが良いの悪いのといった余計な悩みの生じようもないのは美点だとも言える。 この楽器を弾く時は常にヘッドフォンを着用すべきなのでしょうけど、私はそうしない方が多いです。いちいちヘッドフォンをセットするのが面倒なのが第一の理由ですが、PUで拾った音はゴムひもを振るわせてるようなブヨブヨした音色で、そのくせ運弓の乱れには敏感に反応するのがイマイチだ。初心者用練習ツールとしては「おおらか気分」で扱える方が望ましい。ただ、左耳を保護するためにはむしろイヤマフ(耳栓)として、ヘッドフォンを着けるべきなのではあります。 宅録用としての音質については今のところ不明。20世紀初頭の頃にはラッパで拡声するバイオリンというのがあって、
このラッパ部分を自作して取り付けられたりしたら楽しいだろうなとは思うのだけど、たぶんそれ無理。
このヘッドのデザイン=簡略化されたスクロールを「安っぽい」と感じる人もいるようですが、私はこれ、けっこう良いデザインだと思います。いや実は私も、現物を手にするまでは安っぽいんだろうなと予想してました。しかし写真で見るのと実際とでは、けっこう印象が違います。たしかに「高級感」はないかもですが、気楽に使える実用品、工場で大量生産される大衆向け趣味嗜好品という商品カテゴリ内のものとして、「所有していて残念な気持ちにならない」最低限の品質は、定価7万円という枠の中でよく実現できてる、という点でこれは優れたデザインであると認められる、と思うわけです。 ヘッドのデザインだけでなく、サイレント・バイオリンという製品そのものに対して私は、楽器というよりオモチャ、とまでは言えないとしてもせいぜい便利グッズ的代用楽器の類であろうと、実際にこれを買ってみるまではそう思ってました。しかし現物を手にしてみて、そういう偏見みたいのは無くなりましたですね。いや、やはり便利な代用品には違いないのだとしても、だからダメだという事にはならないと、少なくともその程度にまでは認識が改まったです。
ボディを真横から見た図。船舶か橋梁(吊り橋)のミニチュアのようでかっこいい。 自分の所有楽器を陳列するためのWebページを作成し、写真も自分で撮影する。その場合、見た目でもなんでも、とにかく「これ良いな」と思える点が多ければ多いほど、その分この道具に対する愛着も増し、その分これを使い続けたいという気持ちも増しますから、なるべく見栄えが良くなるよう、写真的によいアングルを探すよう努めるのは大切な事だと考えてます。カメラのレンズを通す事でしか表せないイメージというのもありますし。
普段はこうやって壁にぶら下げてます。練習ツールというのは、ある程度「雑」に扱えるものである方が望ましい。 2014/02/12 |