Teisco Phantom-B

 Teisco Phantom-B、通称テスコのファントム・ベース、と呼ぶのは分かりにくいというか誤解の元になるというか。エレキの世界では普通、ファントムといえば英国VOX社製の五角形エレキの事を指すのであって、しかもテスコはそれのコピーも作ってるからややこしい。だからTeisco Phantom-Bに対してはテスコのロング・ホーン等と通称するのが適切かもだけど、まあそんな事はどうでもいいです。

 1966年、米国Danelectro社はMCA社に吸収合併され、ダノ期のロング・ホーン・モデルをセミアコ化した製品を販売するが(Coralブランド)、そのボディを製造したのはカワイ(遠州工芸)。輸出されず日本国内に留め置きとなったボディにテスコのパーツを載せたのがTeiscoのPhantomシリーズ。1968年に発売開始。

 弦長は770mmのショート・スケール。23フレット/ボルト・オン・ネック。重量は約2.8kg。ギターと共用のバー・ポールピース風PUが2発。コントロールはマスターV/T。PUセレクタはトグルSWで、センター位置は普通にパラレル接続。


Teisco May QueenとH.S.Anderson A1 Huston、2011年6月

MXR CLASSIC 108 FUZZ、2011年6月

Tomson 赤いムスタング、2011年5月

ACE TONE MINI ACE、2011年4月

Teisco MJ-2L、2010年10月

歪みエフェクター4種類、2010年8月〜2011年2月


 私はこれを、2005年頃に入手@ヤフオク。入手後間もなく知人に貸し出し、
・そのまま数年間、貸しっぱ→
・2010年の夏に返ってきて→
・すぐに売却するつもりだったんだけど→
・ちょっと試しに録音してみたら予想外に良い音なので驚いた→
・じゃあ売却せずに使い続けてみようかと思うものの→
・弾きにくいから、やっぱりいらねえ→
・しかし手放したら、もう二度と入手不可能であろう。それはもったいない→
・などと逡巡する事およそ1年→
・結局、2011年6月に売却しました。

 セミアコのエレキ・ベースって、案外すごく良いものだという事を私に気付かせてくれたのはこのファントム・ベースなので、その点では感謝してます。

*)カーペンターズは箱エレベの使用率が高いと思う(Joe Osborn)。

 しかしこれ、ちょっと弾き辛らすぎでした。イスに座って膝に乗せても、立ってストラップで吊っても、弾き辛い。低音側ホーンが、ちょうどみぞおちに当たるから苦しいのと、ブリッジの位置が普通のベースと比べヘッド側に寄りすぎ。ブリッジの弦間ピッチも狭すぎる。

 座奏か立奏かでいえば、立奏の方がまだ多少は弾きやすいんだけど、ストラップボタンが細長いホーンの先端にあって、それはちょっと怖い。

 もしも自分にとってセミアコ・ベースの音が必須だというなら、ホフナー・バイオリン・ベースかギブソン335型ベースを使うのが現実的である。そういうのの日本製コピーなら3万円台で入手可能。現在の相場だとテスコのファントムは6万円以上は堅いから、差引勘定しても割の合わない話ではない……

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 実用性はさておいて、壁掛け鑑賞用の、見た目おもしろエレキとしてならファントムは最高☆☆☆☆☆で、手放すかどうか悩んだ理由としては、この点も大きい。しかし東日本大震災が起きて以降、私は壁掛けハンガーにギターを吊すのを止しにしたんですね。所有本数が多いから壁掛け全廃は無理だけど、少なくとも今後は、落下の衝撃で破損しやすいものや、希少性の高い珍品エレキは壁に掛けない事にした。フェンダー系は基本、少々高いところから落としたくらいでは壊れないから壁に掛け、セットネックのもの・重たいもの・ヘッド角があるものは、こういう↓斜めに立てかける式の省スペース型スタンドに置いておく事にしました。

 ですが、「希少性の高い珍品エレキ」とは往々にして「壁掛け用として美味しいエレキ」なのでもあって、これを常に眺められない場所に置いてしまっては意味がない。売ろうか売るまいかという迷いに踏ん切りを付けられた一番大きな要因は、結局これかも知れませんですね。

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