クラシック・ギターを色々なマイクで録るテスト、2010年08〜12月

2011/01/01
(改)2017/06/05
(改)2017/06/10


 私がRoland VS-880を購入したのは1998年頃。その前はカセットテープのマルチ・レコーダを持ってましたけど、いろいろ面倒な機材ですからほとんど使わなかった。VS-880はテープ・レコーダの面倒くささの大半を解消してくれた画期的な製品だったので、私はこれを入手して以降、宅録を熱心にするようになりました。ですから2010年現在、私の宅録歴は約10年。ですが、マイクの「立て方」に関してはずっと無頓着なままでした。
 マイクと楽器の組合せ方や位置関係には、それぞれ最適な何かしらがあるんだろうなとは思いつつ、それを探るのは面倒だしよく分からないし、取りあえず録れてるんだからまあいっかで済ませてた。だけど、それじゃやはりダメだという事を思い知らされる事例が最近あったので(お別れ録音)TOKIKO、2009年03月)、ここは一度、マイクの立て方をちゃんとナニせねばイカンなと。

 そこで2010年、マイクの種類や立て方、それとマイクプリによって録った音がどれ程変わるのかを比較するため、ナイロン弦ギターのソロ演奏を色々な仕方で録ってみました。お題はF.ソルの練習曲、Op.35-22。通称「月光」。これを
・マイク3機種
・マイクプリ4機種
・マイク位置の遠近
の組合せを替えた7パターンで録ったのでした。

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 と、以上の文章は2010年12月に書いたもの(を多少書き直したもの)で、そのソルの「月光」を色々に録った音ファイルを、当時利用してたSeeSaaブログにUpした時に書いた説明文の一部です。

 そしてここから先は2017年6月に新たに書き足したもの。現在、SeeSaaブログにUpしてた私の宅録類をYou Tubeに移し替える作業が鋭意進行中なんだけど、ソルの月光いろいろシリーズはどうしたものかと。5年以上前に録ったものなので、
・まず第一に、ギターが下手くそすぎる
・それと弦がブラック・ナイロン
これじゃ今後の参考の役には立ちません。自分、5年前よりかはナイロン弦ギターを上手く弾けるようになってるし、弦も、私のギター・加納木魂に適したのを見付けられた。少なくとも今考えると、ブラック・ナイロンというのはありえない。へたっぴが弾いたサンプルなんて何の役にもたちゃしない。やんなっちゃうよね。じゃあこの、2010年に録ったシリーズはYou Tubeには移さず闇に葬りましょう。

 とも思ったのだけど、このシリーズでは既に手放した機材のいくつかを用いてました。マイクが2機種とマイクプリも2機種。とくにSENNHEISER MD441Uの音が残ってるのは貴重。ART TUBE MPの音も意外に悪くない。だったら、7パターンの全部は不要だから不出来すぎる2つは除き、SENNHEISERとARTを用いた録音と、RCA BK-5Bをオフ位置に立てちゃイカンみたいな悪い例も含めた5パターンをYou Tubeに移す事にしました。

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■5ファイルに共通の事柄

・DAWでEQやコンプなど、音色を変える処理はしてません。
・リバーブは掛けてます。5ファイルとも同じ設定。


(↑クリックすると大サイズ画像が別窓で開きます)

・マイクによって入力レベルはまちまちなので、ゲインブーストして出来るだけ5ファイルのレベルを揃えてます。プラグインのコンプを、コンプとしては全く機能しないよう設定し、曲内での一番のピークがおよそ0dBになるようMakeUpGainを上げ、というやり方。

 5つの動画には全て、最後の方に波形の画像を付けました。こんなの見ても何も分からんかもですけど、着目ポイントは、
・瞬間的なピークを示すトゲの多い少ない
・ピーク以外の、平均的なレベル

 録音中の演奏のしやすさは、モニターの音質によって影響されます。私的に一番弾きやすかったのはSENNHEISERだったような記憶があり、そして波形を見ると、平均レベルが最も高いマイク、言い換えると、ピーク時と平均レベルの差が少ない、ピークに対して過敏すぎないマイクはSENNHEISERのようです。実際そういう音に録れてるし。これがナイロン弦ギターの音として良いか悪いかははまた別の問題ですけど、モニターを弾きやすく調整するのは重要課題なので、これちょっと興味深い。録音時、モニター送りにだけコンプ掛けてピークを抑えるとか、あるいはピークが出にくいヘッドフォンを使うだけでも録音しやすくなるのかも知れません。というような事にも気付けるのだから、何年も前の自分の下手すぎる録音を聴き直すのも、悪い事ばかりじゃないかもですね。

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■作例その1;

■マイクはSOUND KING SKEC011
■マイク・プリはART TUBE MP
■後半のリピート部分(1:30頃〜)は、マイク・プリをPreSonus BLUE TUBEに替えてます。
■2010年08月28日録音

マイク・プリの設定;
ART MP TUBEはInput=9時/Output=3時
PreSonus BLUE TUBEはDrive=12時/Gain=9時

マイクの立て方は下図の通り。

・サウンドホールより高い位置にマイクを置き、サウンドホールの下側を狙う。
だからマイクはかなりお辞儀してます。
・ボディとネックの付け根付近にマイクを置き、サウンドホールから少しブリッジに寄った所を狙う。
だからマイクは下手側に首振ってます。

サウンドホールを狙わず、楽器の表板とマイクのダイアフラムを正対させてません。
 ・サウンドホールを狙うとブーミーになり、
 ・表板と正対させるとアタックがノイジー
だったんですね。マイクの特性でそうなるのか、それとも距離35cmが近すぎなのか?

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■作例その2;

■マイクはRCA BK-5B
■プリ・アンプはMindPrint AN/DI Pro
■2010年12月04日録音

マイク・プリの設定;
MindPrint AN/DI ProはMIC GAIN=7.3

マイクの立て方は下図の通り。

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■作例その3;

■マイクはSENNHEISER MD441U
■プリ・アンプはMindPrint AN/DI Pro
■2010年12月04日録音

マイクの設定;
・ハイ上げスイッチはオフ
・ローカットは1段

マイク・プリの設定;
MindPrint AN/DI ProはMIC GAIN=8(Full)

マイクの立て方は下図の通り。

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■作例その4;

■マイクはRCA BK-5B
■プリ・アンプはMACKIE 1202
■2010年12月07日録音

マイク・プリの設定;
・Chanel 1を使用。MIC GAIN=3時半
・EQはフラット
・ADコンバータはMOTU 828。Input 3-4をゲイン=フルで使用。

マイクの立て方は下図の通り。

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■作例その5;

■マイクはSOUND KING SKEC011
■プリ・アンプはMACKIE 1202
■2010年12月07日録音

マイク・プリの設定;
・Chanel 1を使用。MIC GAIN=記録忘れで不明
・EQはフラット
・ADコンバータは作例その4と同じ

マイクの立て方は下図の通り。


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