(お別れ録音)Teisco SD-4L、2010年06月

2010/07/14
(改)2017/07/10


 1962年発売。イタリア製エレキ、EKOかなにかのコピーです。ですがコピー度が低すぎるので「コピーです」と言い切れるかどうかは微妙。
・コタツ板に貼るのと同じデコラ板で飾られたボディは分厚いランバコア。
Gold Foil PUが4発並んだ両脇には甲冑のような金属パネル。
EKOの現物ではなく、写真だけを見て作ったんだろうと思いますよ。いくらなんでも不細工すぎますんで。

 リットーのテスコ特集ではものすごく重たいように書かれてましたけど、個体差が大きいのか、私が入手したものは4kgちょうどで、重たい方には違いないけど、桁外れに重くはなかったです。

 音の方は見た目の破天荒さに相応しく、破壊的で悪魔的なクレイジー・サウンドを出力してくれます…っていうならステキなんですけど、とくにそういう事はなく、(テスコ基準での)ごく当たり前の音といいますか、どちらかというと地味な音、しかし金属パネルの共鳴を拾ってるのか、少しキンキンした所もある、そんなような音のエレキだったです。空き缶っぽい音。

 ネック周りは、60年代初期のテスコ製品ですから、当然ながらとってもアレ。ボディのヘリが角ばってるので体に当たって痛い事もあり、非常に弾き辛い。そんなエレキで普通に曲っぽいものを弾いても面白くないですから、ここは思い切って★なるたけ出鱈目な感じ★を狙ってみたのが↓

■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D-1
■全部で3パート。各パートのPUポジションは、
・カッティング=4
・ベース風パート=1+3
・スライド(前半)=1
・スライド(後半)=1+2
■2010年06月05日録音
*)PUナンバーはネックからブリッジに向けて1〜4となります。

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 当コーナーの録音作業はこの数ヶ月、ちょっと「型っぽい」のが多くなって自分的には飽きてきたから、今までの流れを軽くリセットするキッカケが欲しいと思ってた。そんな時にSD-4L。これはなかなか良いお題だったと思います。私なりの「ゴミ・エレキ活用法」ですね。

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↑の録音をしてから一週間後に、もう1曲録音しました。J.S.Bach『3声のインベンション』の13番・イ短調です。

■アンプはLine6 POD Farm。USB I/O(GX)のヘッドフォン・ジャックからの出力をDAW用I/O(MindPrint AN/DI PRO)にプラグ・イン(相変わらずの杜撰接続です)。
■全部で3パート。各パートのPUポジションは、
・1st(上声)=3+4
・2nd(中声)=1+2
・3rd(下声)=1+4
■POD Farmの設定は、3パートとも、
・アンプ=Fender Twin/Drive=8/Bass=8/Mid=6/Treble=8/Presence=9/Vol.=8
・エフェクトにスプリング・リバーブ。設定はDwell=3/Tone=5.5/Mix=4
・キャビネット設定の記録は無し。
■2010年06月12日録音

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 SD-4Lは弾き辛くて、普通に曲を弾いても面白くないから出鱈目弾き。というのをやった一週間後に手のひら返してクラシック。「お別れ録音」のシリーズは、私が思い付くまま好き勝手をする音の落書き帳みたいな利用の仕方になってますので、こういう展開もありですっていう。

 バッハの鍵盤作品をエレキのマルチ録音でなにしてみるってのは、以前からやってみたいと思ってた事なのです。それと、ネック周りがアレなエレキとは即興でサラサラ弾こうとした時にストレスが多かったり、ベンド等のエレキ的な奏法がやりづらいから弾き辛いわけで、クラシックの譜面をなぞるだけならむしろ楽(いやもちろん、弾き辛いですけど)。
 それで今回試みに一曲作ってみたんですが、自分が予想してた以上に面白いものが出来上がったので驚いております。

 私個人的に、チェンバロの音って耳が疲れるので聴いてられない。ピアノで弾くバッハは響きが豊かすぎ・ふくよかすぎ・レンジ広すぎ等々の理由から、ちょっと変な感じがする。エレキで弾くバッハは、音色は鋭いけどチェンバロほど耳は疲れず、自分的にはこれが一番好みかも。SD-4Lの音が少しキンキンしてるのも壊れたオルゴールみたいで、この曲に似合ってたかも。ストラトとかレスポールみたいな「まとも」なエレキだと、こういう面白さは出ないような気もします。
 音の広がりというか、横幅みたいな意味でのレンジが狭いのも、チェンバロではなくクラヴィコードで弾くために書かれたこの曲に合うのでは?声部を分離するためパンを振り分けてますけど、モノ・ミックスに近い方が良いんだろうなとも思います。

 もちろん今回の録音は全編未完成な状態で、音楽として評価されるべき点は何もないですけど、「エレキで弾くバッハ」というのはそのうち本腰入れて取り組んでみたい題材ですね。

*)2017年追記;
とまあ、これを録り終えた直後は面白いように思えてた「エレキで弾くバッハ」なんだけど、それから数年経った現在は、まるで面白いとは思えない。なんなんすかね?


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