花村楽器の桶ベース
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この製品の型番とか愛称とかは不明なので、とりあえず桶ベースとでも呼んでおきます。

花村楽器というのは東京都世田谷区、最寄り駅でいうと京王線明大前駅あたりで営業している個人工房です。いつ頃から営業を開始したかは不明なんですが、この桶ベースは1980年代後半か90年代の初め頃に作られたように思えます(これはもともとモモカワ君の所有物だったんですが、彼もファースト・オーナーではないので製造年はよく分かりません)。

花村楽器は現在も営業中→花村楽器のサイト


桶というかたらいのようなボディ表面にを張った、セミ・アコースティック構造のエレキ・ベースです。
花村楽器は、これと同じ構造のギターも作ってたと思います。

表板に皮を用いる弦楽器は、アフリカ・ペルシャ・インド・東南アジア・中国・日本の三味線・アメリカのバンジョー等々世界中で使われてますので、そういう民俗楽器からアイディアを得て作ったのではないかと思われます。

弦長約86cm、全長(ヘッド先端からボディエンドまで)が約118cmで、わりと普通にプレベ・サイズの楽器です。それでボディがセミアコ(というか桶)なので非常に軽量。楽器としても、ちょっと弾いてみる分には、案外普通に演奏出来ます(見た目的にはキワモノ、それにしては普通に弾けるという意味)。実際にバンドの中で鳴らした事はないので、ハウリングしやすいかどうか等については未チェック(この楽器は既に売却済みです)。


ネックはグヤトーンかマツモク製のものを流用してるように思えます。ヘッド形状は整形し直してあるかも知れませんが、グヤ EB-7のヘッドとよく似てる。ペグはグヤトーン・シャープ5ベースに使われているものっぽい。金メッキだし。

ブッシュの代わりに細長い金属のプレートがネジ止めされています。カワイのエレキのようですね。


ボディ部分の拡大画像。
皮の材質は不明。当然ドラムのヘッドなんだろうとは思うのですが、へりのめくれ具合を見ると天然素材のようにも思えてきます。
皮の固定方法は鋲打ち。

ボディ材は、どっかから拾ってきたような木材。

空気抜き目的なのかどうか、側板には穴が開けられています。


PUは、もしかしたらギター用かも。コントロールはマスター・ボリュームが1つだけ。そのすぐ隣にアウト・プットのジャックが配置されています。

ブリッジとテールピースの間には結構距離があります。近頃のベース弦は長さがギリギリのものが多く、普通のロングスケールだと、とくに4弦の長さが不足して、ナット側でちょっと不都合が生じる場合があります。
テールピースは「組み立て式家具」にでも使われていそうな角パイプ。

ブリッジはギター用のものを流用。オクターブ調整が怪しい……というか、そもそも各弦をどこに乗せたら良いのかさえイマイチ不明(ちゃんと溝切りされてない)という、実にテキトーな代物。

ブリッジは「皮」に乗せられ、宙に浮いた状態です。
弦の圧力で皮が陥没していますが、これは皮を用いる民俗楽器にはよくある事です。

2007/08/10
(改)2010/08/24


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