GrecoのGOシリーズおよびミラージュ・シリーズ用のテールピースです。
アーチド・トップ専用のパーツなので、底面はわずかに湾曲してます。


木ネジ3本でボディ表面にガッチリ固定します。重量は129g。
高さ調整機能はありません。レス・ポール等のストップ・テールピースを一番下まで下げた時と同じくらいの高さでしょうか。

アレムビックや、グヤトーンのグローリーのテールピースも、木ネジで完全固定して高さ調整不可のタイプでした。こういうのが70年代中期以降にちょっと流行ってたんですね。ベース用ブリッジのバダスなんかは大流行いたしました。弦の振動に関わる部分を全て、
「重く・厚く・強く」
という方向性でチューンナップするんです。わりとすぐに飽きられましたけどね。

しかし、バダス・ブリッジはベース用のスタンダードとして定着しました。60年代以前と70年代以降とでは、ベースというパートに求められているものが全く違ってきていますし、機材環境全体も大きく異なります。ベース界では、いわゆるビンテージ指向がそれほど支配的ではない、ということも関係あるのでしょう。
ギターの方はどうかというと、現在エレキが主役になるタイプの音楽を好んで聴いたり弾いたりしてるのはじじい世代の人々が中心だからなのか、ビンテージ指向が顕著です。そのためレス・ポール系のテールピースに関しては、材質はアルミで、スタッドも(締め付け式とかではない)普通のボルト型を用いるのが主流のようです。要するに、何でもとにかくオリジナルと同じにって事ですね。

そういう現在の流行からすると、70年代後半の重厚長大型エレキ設計というのはまるでピンぼけって事になりますから、このグレコのテールピースに対しても「完全な過去の遺物」というような評価しか与えられませんでしょうか。しかしこういうのはつまり流行なんで、もう10年もしたらビンテージってのも飽きられて、重厚長大がリバイバルするかも知れません。

あるいはエレキそのものが完全に過去の遺物となってるかも知れません。まあそれは10年20年先になってみないと分からない事ですけど。


弦を引っ掛ける部分は、フルアコのブランコ・テールピースの裏表をひっくり返しただけ(参考画像)。しかし6本の弦溝には装飾としての働きも受け持たされてるわけで、これはなかなか良い意匠だと思います。


弦交換する際の手順その他の諸事情は、つまりフルアコのそれと似てるので、太い巻弦を張る時は少々厄介だったりもします。


2010/04/12



inserted by FC2 system