Teisco BR66 *当サイトでのテスコのブリッジの呼び名について

1966年発売のK-4LK-3LEP-200LVegas 40Vegas 66等に使われているブリッジです。

このブリッジは「66年初登場」で間違いないと思います(1965年発売のYG-6の初期ロットではBR62が使われているので)。

上記の機種は全て当時のラインナップ中で「高級機種」という位置付けのものです。
同年発売の廉価版モデル(SM-2LK-2L)にはBR66"Roller"が載せられています。

SS-4L(62年)、TG-64WG-4L(64年)、YG-6(65年)等、発売当初はBR62を載せていた機種も、66年以降はこのBR66が載せられて出荷されるようになります。



この画像の個体は近年の再生産品のものですので、ブリッジを吊り下げる4本のネジがプラス頭ですが、オリジナルはマイナス頭です。




エレキ用ブリッジとしての機能は

・弦高調整=○
・オクターブ調整=○
・ローラー機能=?

と一応のスペックは充たしているのですが、そう手放しに誉められるような物でもなく、

●弦高調整用のネジが4本あるのは多すぎ。高さ調整もやりづらいしノイズの元にもなります。これがどうしても気になる場合は、小さなスプリングをかましてやる事で解決可能(たぶん)。
●オクターブ調整は、「それが可能である数少ないテスコのブリッジである」という点で素晴らしいものですが、調整範囲は案外狭く……。
●ローラー……これは「回らなくもない・時々回ってるかも」しれないから「もしかしたらこれはローラー・ブリッジかも」と思わされてしまうという「思わせぶりな謎パーツ」でして。



そもそもこの
「ねじサドルを板材をプレス成形した台座に取り付けたローラーかも知れないブリッジ」
これは初期の日本製エレキでしばしば目にする物件ですが、これを最初に使い始めたのは一体どこの会社なのか、外国製品にもこれと同じものがあるかどうか……というのはちょっと興味のあるところ。

部品構成的にはモズライトに倣った物だと思うのですが、モズの、ローラーを支える台座は棒材を削り出した重厚なもの(参考画像)。

「ねじサドル」はフェンダーが1961年(ジャガー)まで採用し続けた部品ですが、64年発売のムスタングでは(不評につき)ボツっている(たぶん)。

ところで「テケテケ」界において最も人気が高かったエレキはモズライト&ジャガーですが、BR66式のサドルとは「モズとジャガーの華麗なる合体」であり。

尤もメーカー側にとっても、このサドルの「ローラーとしての性能」はどうもアレだという意識はあったのか、68年発売のMay Queenのブリッジ(=もしかしたら67年発売のDG-のブリッジと同じものかも)では、ローラー部分が改良されます(これはこれでノイズ発生しやすいという問題あり)。

ちなみにヤマハの最初のエレキ(66年)のローラー・ブリッジは現代の基準で評価しても「まずまずOK」と呼べるくらい上出来の物です(ちょっと弦落ちしやすい、くらいで)。


もちろん現代では、これよりはるかに優れたリプレイスメント・パーツがあるわけですから、気に入らないなら交換してしまえば良いだけの話。なんですが、

Kシリーズの独特の音色……ペンペンしたアタック感や絶妙に短いサスティン

は、このブリッジであればこそ。ですから「気に入らないから即交換」と簡単に思い切れないのは悩ましい。




アーチ形状もBR66"Roller"同様、もう少しゆるいRの方が良いんですが。

2007/03/03


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