1962年発売のSS-4LSD-4Lに使われていたトレモロ・ユニットです。
63年発売のWGシリーズも、最初はこのユニットが使われていました。

接地面積は小さく、わりと小型なユニットなのですが、全体がカバーで覆われてるため厚みが大きく、「もっこり」した箱形の外観を呈しています。
テスコにはこのユニットに似た形状の物がもう1種類あり、このページの物の方が初期型です(たぶん)から、これを当サイト内では箱形1号と呼ぶ事にします。

もうちょっとスマートというか垢抜けた名称を付けられたら良いのですが、特に名案も浮かばず、「もっこり」した見た目に「もっさり」した呼び名。これはこれで良いようにも思え。


発売当初は箱形1号を載せていたSS-4LSD-4Lですが、64年以降はTG-Trmを載せて出荷されるようになります。一方65年のヤマハのカタログに掲載されているTRG-1にはまだ箱形1号が使われていますので、このユニットは「小型・軽量あるいは廉価な製品用」という位置付けに格下げされながら、少なくとも65年頃までは使われ続けたようです。


トレモロ・ユニットとしての動作原理は、概ねBigsbyと同じですが、引きバネ3本を使うのと、弦をシャフトに巻き付けるのではなくプレートに通すようになっているのがBigsbyとの違い。バネのテンションは調整可能。

トレモロ・ユニットとしての性能というか使用感は、少なくとも箱形2号よりはかなりまとも(というか、箱形2号がダメすぎ)なので、トレモロ・ユニットにあまり多くを要求しない人ならば現役で使用可能な範囲内にはある(かも知れません)。


アームの固定方法は「ネジで締め込むバネ式」っていうかなんていうか

今は廃れた文具ですけど、短くなったエンピツを限界まで使い切るための鉛筆サックってのが昔ありました(鉛筆ホルダーとか補助軸とかとも呼ばれるらしい)。
あれと同じですね☆<

アーム位置の半固定が可能なので使用感は良いです。

60年代日本製エレキのアーム固定法には様々なバリエーションが無数にあって、各社ともずいぶん無駄な努力を積み重ねたものですが、60年代初期の、このシンプルな方式が一番優れてるんだからガッカリですよね。


60年代の日本製エレキは、50〜60年代の欧米製エレキをお手本にデザインしてます一応。だからトレモロ・ユニットにカバーは必須。機械的な中身が剥き出しになるのを避けるのが、流線型時代のアメリカのマナー。それで、デザイン力と製造技術に優れたアメリカ人はステキな流線型に包まれた、数々の工業製品を産み出しました。それを60年代の日本人が真似しても、こんな不格好なものしか作れませんという一例ですねこれ。

中身はGuyasby 1号と大体同じなんだから、もうちょっとスマートな形に出来そうなものですが。同じ日本のグヤ社と比べても、テスコのはゴテゴテ・ゴツゴツしてます@とくに60年代初期。


カバーはベースプレートには固定されていませんが、ボディに(ベースプレートとともに)ネジ止めで固定されています。ですのでこのカバーが欠品・紛失してしまう事は少ないようです。


重量は264g(アーム含む)

2007/03/16
(改)2010/09/27



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