エレキの世界に、かつて確かに存在していた「重厚長大ハイテク未来志向でややSFチック」な設計方針を、その一身に凝縮したかのようなトレモロ・ユニット、その名も SHIFT2001 でございます。 戦車のミニチュアではございません。 |
製品名(と思われる)SHIFT2001の「2001」とは2001年製という意味では更々なく、昔の人たちが「遠い未来・宇宙の果て」を象徴的に表すために用いる慣い文句だったのでございます。 |
ANSWERとはこの製品のメーカーあるいはブランド名なのでしょうか、よくわかりません。 |
まあ見た目が凄いだけのことはありまして、トレモロ・ユニットに求められる要件のほとんどを備えた製品ではございます。 ◎フラット・トップのボディにザグりなしで取り付けられる。 ◎ローラー式のサドルは弦ごとの弦高・オクターブ調整が可能。 ◎テンション・バーも各弦独立したローラー式。 ◎テール・ピース部分も弦高(?)調整が可能で、これはアーミング時の各弦の音程の変化幅を調整する意図のものかも知れません。 ◎ファインチューナーを装備。 ◎トレモロのバネ圧は調整可。またロックすることも可能。 ◎アームの取り付け位置は右利き左利き用どちらにも対応。 といったところでしょうか。構成するパーツは全てこの製品専用の重厚なダイキャストあるいは削り出し製で、なかなかの高精度を以て組み立てられております。とにかく…… すんごいよ! |
サドル一つだけでも、この部品点数の多さ。 |
ただこのトレモロ・ユニット、入手した時点で専用のアームが欠品してまして、実際の使用感・音質等は確認せぬまま手放してしまいました。ちょっと勿体なかったかな……。 それにしてもこのデザイン・仕様の物凄さと、こんな製品があったということが現在ではまるで忘れ去られ話題にもならない、そのギャップの大きさは何なんだろうという気持ちがあります。 思えばケーラーその他新機軸のトレモロ・ユニットが次々と開発され広告や店頭を華々しく飾った一時期というものが確かにあったのですが、その一方でユーザー/プレイヤーの側では大雑把に、 トレモロを使う人=ストラト/使わない人=レス・ポール という棲み分けが確立され、わずかフロイド・ローズのみを残し、それ以外の新型トレモロ・ユニットは全て時代の徒花として、空しくついえ去ったのでありました、とさ。 |