ビグスビーの日本製コピー品を、当サイトでは和グスビー(わぐすびー)と呼んでみようかと思っとります。
エレキ本体と同様に、1960年代末から70年代初頭にかけての時期に「はんぱコピー」から「完全コピー」へと発展進化する過程があったようです(詳しくはこちらのサイトを参照)。

グレコの製品でいうと、
・1973年のカタログにあるSGコピー、SG-350Tに使われてるユニットはテンションバー分離型。
・翌74年のカタログでのSG-400Tはテンションバー一体型。
和グスビーは73/74年あたりを境に完コピ化に至ったと思われます。


回転軸受けはボール・ベアリングなので、アーミングのスムーズさは本家と比べ遜色ありません。アームの先端がちょっと折れ曲がってる所などは、なかなか芸の細かいコピーっぷりです。ただし、弦の固定方法は「回転軸の中に通す式」で、ビグスビー本家の「へんな棒に引っ掛ける式」とは異なります。

重量は299gで、本家の283gと大差なし。

この画像の和グスビーはアームが360°フリーに回転するタイプで、それも本家と違う点のようにも思えますが、本家も一時こういうタイプのアームを作ってたという説もあるので……

弦交換は「へんな棒式」よりも「軸の中に通す式」の方がやりやすいんですけど、「軸の中式」はボールエンド付近で弦が切れてしまうトラブルが起こりやすいように思えます。

弦のボールエンド周辺はワイヤーがグルグル巻きで柔軟性が低いわけですが、和グスビーの「軸の中に通す式」は、その部分をほぼ90°に折り曲げる事になります。弦にとっては危険な状態ですから、そこに3度チョーキングみたいな過負荷を掛けるとあっさりブチ切れてしまうんですねえ。プレーン弦よりも巻弦の方が太い分、より負荷が掛かるからなのか、私は5弦を切ってしまう事が多いです。

弦交換が面倒すぎて大不評の本家「へんな棒式」ですが、安全性の面からすると、あれが正しい設計という事になるみたいです。


フレームの表面に縮緬皺みたいなものが浮いてますが、これは表面処理の技術が低かったため、経年変化で劣化してこうなったのではないかと思います。通常の磨き上げ作業で、この縮緬皺を落とす事は出来ません。こういう状態の和グスビー、けっこう良く見かけますね。


2010/05/03



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