Guyatone LG-880 "MARROLY"専用のハード・ケースです。1975年当時の定価は¥8,000-。


私にとってハード・ケースは無用の長物(邪魔なだけ)なので、ヤフオクで売却してしまいました。この画像はその際に行った記念撮影。


マロリーという超レア(不人気)モデルの、しかもその専用ケースとなると、コレクター的観点では「とても美味しい物件」で、これを手放すなんてバカな話しはない……という事になるのかも知れないんですが、私には不要だこんなもの。

実はこのハード・ケースには「作りがチャチで実用性はイマイチ」という難点もございます。


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最初にも書きましたが、このケースの定価は¥8,000-。マロリー本体の定価が¥80,000-なので本体+ケースが¥88,000-。それで型番がLG-880
私は今までに2度、マロリーを(中古で)購入しましたが、2度ともハード・ケース付きでした。また、(ごく稀に)ヤフオクや楽器店に売りに出てくるものを見ても、ハード・ケース付きのものが多いような気がします。
グヤ社がマロリーを販売するにあたっては、ハード・ケース付き推奨(半ば強制)という方針をとっていたのかも知れません。


ケースの角を保護する金具は薄ぺらいもの。落としたりぶつけたりした時の保護材としては役不足なように思えますし、見た目的にもあまり上等とは言えないと思う。


ハンドルはアルミの鋳造(だと思う。削りだしかな?)。
金属が剥き出しなので、ここを握ってると手が痛くなるし冷たくもなる。楽器用のケースに用いるべきハンドルではないですね。


内部の間仕切りは簡易な(というか安直な)形状で、車に乗せて揺られたら、ケースの中で楽器が踊っちゃうんじゃないかな。


ケース表面に張られてるのは壁紙みたいな素材で、一般的なハード・ケースに用いられるビニール・レザーよりもずっと薄く、強度も弱そうに思えます。車への積み降ろしを何度か繰り返しただけでボロボロになってしまいそうな気がします。

ケース自体の素材は、これも薄ぺらな感じのするベニア板かなにかで、やはり強度的はに頼りなさげなものでした。

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マロリーの発売開始は1974年。同時期の他社製ハード・ケースはいくら位するかというと、

・1976年のヤマハのSG&レス・ポール用が¥10,000-、ストラト用が¥11,000-。
・1977年のグレコのレス・ポール用ラウンド・ケースが¥12,000-。
・1978年のフェルナンデスのストラト用が¥11,000-。

ジャスト74年の資料がないのでイマイチですが、まあ70年代半ばのハード・ケースのお値段とは大体この位のものでしょう。グヤのはそれより割安で、だから仕様的にも「お安い感じ」でべつにかまわないんですが、グヤ社にとってのマロリーとは74年時点でのフラッグ・シップ・モデルなので、それに付属させるケースとしては、ちょっとこれ残念な感じだったかなと。

楽器用のケースには、それ専門のメーカーが存在します。有名なところではタカベ(株)。
タカベ社が設立されたのは1937年(昭和12)で、マンドリンやアコギ用のハード・ケースをその頃から製造してました。ですから、日本における楽器専用ケースの製造は(タカベ社に限って言っても)1975年の時点で既に約40年の歴史があり、その年月分の技術・ノウハウの蓄積は充分あった。だからグレコやヤマハのケースはちゃんとしたものですよ。嗚呼それなのにグヤさんのケースがアレなのはどうした事よと思うわけです。

マロリー用のハード・ケースを製造したのがどこなのかは分かりません。もちろんタカベ等のケース専門メーカーのものかもしれませんが、もしかしたらマロリーの製造元(ユニ楽器)が作ったのかも知れません。私には、このハード・ケースは専門メーカーによるものだとは思えないです。

別項でも書きましたが、69年に倒産して以降のグヤ社は、(少なくともギター本体という分野では)いわゆる量産メーカーではなくなったように思われます。グヤ・ブランドを冠したギターはあるものの、製造は全て外注で生産量は非常に少ない。ハード・ケースという付属品の品質が他社に比べ劣るのは、「楽器メーカーとしての体制の弱さ」を現す一面なのかも知れません。


一応ストラトを入れることも出来ますよ、っていう画像。

2010/02/19



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