テスコのゴールド・フォイルPUです。K-PUと並ぶテスコの代表機種ですね。

1962年1963年にSS-4LSD-4LのPUとして用いられたのが初登場だと思います。それ以降はTRG-1WG-2L,3Lに載せられました。フルアコにも少々使われたようです。案外、使われた機種は多くないのですね。

ただWGシリーズはテスコ製品の中でもかなり売れた方のモデルですから、世の中に出回ったゴールド・フォイルPUの数は、かなり多いと思います。


1960年代中頃のエレキ・ブーム期に大量に作られ売られたテスコやグヤも、70年以降は一旦世間の表舞台から姿を消し、世代交代の完了……つまりエレキ・ブームをリアル・タイムで知らない年代の人々が楽器市場の主力となるのを待って、これら初期日本製エレキ「再評価」の機運が(ビザールという新用語とカップリングされて)湧き起こり今日に至る、と。

ギター・マガジンが最初のテスコ特集を出した時には、まだビザールという言葉は使っていなかった(はず)で、その次のムック(通称ビザール本)でビザールギターを組み合わせる用例を初めて目にしました。まぁ何かブームを起こそうという時に「新しいカテゴリ」を作ってみるのは有効な手段。ですが、こういう作為的な煽りのための用語であるビザールに、僕はどうも馴染めず。

とはいえ僕も上記2冊の本に「煽られた」方の人間です。ギタマガのテスコ特集が出る直前(数ヶ月前だったか)に横浜のフリマ(のはしりみたいなもの)でThomasのエレキを拾い買いし、「なんだこれ?」みたいな感じでいじくり回していた、そういうタイミングだったのもツボで(運が悪かった、とも言える)。
ライ・クーダーがこのゴールド・フォイルをストラトに載せているというのを知ったのも大きかったです。それからは芋づる式に、そういえば鮎川誠がレコジャケで……そういえば東京ロッカーズの誰だかも使っていたような……喜納昌吉も、もしかしたらKを……みたいな記憶もよみがえり。

もちろんテスコ製エレキの「見た目にしびれた」というのも大きい。とくにTRG-1。そしてゴールド・フォイルを載せたTRG-1は音的にも最高のギターだと思います(かなり扱いづらいですが)。

ちなみに僕は「エレキ・ブームをリアル・タイムで知らない世代」の方の人間ですが、10代前半の頃が「グヤトーンがギター本体を作っていた最後の時期」にあたり、グヤのカタログを眺めるのは大きな楽しみでした。それでエレキに興味を持った最初の段階でマロリーシャープ5が「最高のギター」として刷り込まれてしまったようです。子供の時のこういう体験は怖ろしいもので、僕はいまだに「マロリーのかっこよさを理解出来ないという人の感覚が理解出来ない」という状態にありますから、子供の頃のすり込みってのは、ホントこわいものですよね。

2007/02/09
(改)2009/06/06



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