K-PUの断線故障品を分解して内部を覗いてみました。

一つ一つが貴重な文化遺産であるテスコ類のPUですから、完調品をわざわざ分解してみるなどという危険は冒せません。こういう故障品も、ある意味ありがたい存在ではあります。

開けてビックリ、重たいはずです。ケース内部のほぼ半分がマグネットでした。しかも二つに分かれています。
こういう構造であるからこそ、後年このK-PUのバリエーションであるSpectrum 5のスプリットPUやMay Queenの2分割バー・ポ−ルピースPUが作られたのでありましょう。




コイルは、(外観から概そ想像出来る)ターン数も、また形状・縦横の比率なども、フェンギブ等王道系PUとはかなり異なるものだと思います。



コイル上面のカバーを外してみました。ポールピースは5mm角の棒材が6本並んでいる……ではなくて、内部的にはこれバー・タイプ。上面が「ちびた櫛の歯状」に整形され、見た目は6つのスクエア・ポールピースになっているという……ホント開けてビックリでございます。

しかもその「櫛の歯」に残る刃物の跡や「スクエア」と呼ぶのもちょっとためらわれるような仕上がり精度から、どうもこれは
「金ノコかヤスリでギコギコ削り落とした後、上っ面をトンカチでガンガン叩いて整形」
という野趣溢れる製造工程を経ているのではないかと想像。町工場に響き渡る金属音が聞こえてくるような質感です。

しかしこの製造工程(というか仕上がり具合)、これこそがK-PUのサウンドの秘密なのである……としたら、もうどうしてくれようかと思います。



そんなK-PUの、ポールピースの秘密を半世紀近く隠し続けてきたコイル上面のカバー。塩ビ板(かな?)。

60年代末(カワイに吸収されてからか?)には、ごく少数ですが白色のカバーも使われました。



金属製のケースです。



本体には4本ある「ツメ」を折り曲げて固定します……なんですが、この個体には2本しか残っていません。あとの2本は、この撮影のために分解する過程でちぎれてしまいました。

もとが薄い金属板で、そこに経年による劣化が加わっていますから、運が悪いと「延ばす←→曲げる」の2〜3往復であっさり折れてしまいます。ですので断線など故障品を修理する場合はしょうがないですが、完調品を興味本位で分解したりするのは、止めましょう。

2007/02/09
(改)2007/02/16


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