Ravenという60年代末マイナー泡沫系ブランドのエレキに載せられていたPUです。
Ravenというブランドは正体不明ですが、グヤトーンのトレモロ・ユニットとブリッジが用いられてるので、PUもグヤトーンのものではないかと思われます。トップ面がツヤ消し梨地処理してあって、そういう所のデザインのセンスもグヤっぽい。

リットーのビザール本には、このエレキのパーツ違いバージョンが掲載されており(67ページ)、「マツモクで製作されたらしい」と紹介されてます。
1969年に倒産して以降、グヤ社のエレキの大部分はOEMになり、マツモクは主要な製造元であったとも思われますので、マツモク製ボディにグヤのパーツをアッセンブリしたマイナー・ブランド(あるいは輸出専用ブランド)のエレキが存在したとしても、なんら不思議はないわけです。


Ravenのボディはシンライン・フルアコ(支柱あり)ですが、PUはボディに直接ネジ止めされてます。カバーを取り外すと「薄い和紙に包まれた美味しそうな何か」が出現。

この和紙は剥がしてみなかったので、更に内部はどうなってるかは分かりませんが、マグネットは多分バー・タイプだと思う。
外見上はポール・ピースが6個あるPUですけど、それはなんちゃってポール・ピースなわけですね。


なんちゃってポール・ピースを裏面から観察。「テープでピっと」固定しただけ。
こういうところが実にあれです、60年代末から70年代初期にかけての安物エレキならではのtake it easyなノリですばらしい。


ボディへはコルク板(ずさんカット)を介して直接マウント。高さ調整機能なんてものはありません。

しかし、フルアコ・ボディの表面にPUをネジ止めですから、
「こんなんじゃハウりまくって使い物にならねえ」
と思われるかも知れません。しかしそれは間違いなのであって、このエレキは
「ハウらせるためのギター」
として設計されたものなんですね(と思って使うしかないだろうという)。

それとこのPUはピッキング・ニュアンスを良く拾う方だったようにも思えるのですが、それはPUの性質というよりも「箱ボディにPUを直接ネジ止め方式」ならではの効果、だったのかも知れません。


2010/03/16



inserted by FC2 system