02 2007/05〜

ボディの大部分が金属で覆われ、冷たく人工的な輝きを放つエレキ。それは伝統的な日本的の美意識「侘び寂び」を否定する事で、古い日本の価値観全体を否定し、アメリカ文化の影響を受け容れた新しい日本の誕生を象徴する存在でした……

なんですが、その本家アメリカには、こんな全身ビカビカのエレキなんて無いんですなぁ。一方、近世以前の日本に於いて楽器とは「神器」の一種であり、その神器とか神社で使うお祭り道具の類って、大抵「きんぴか」なものです。(*註1

ですからこのビカビカな輝きが大変好まれた「エレキ・ブーム」とは、表面的にはアメリカ礼賛を装いながらも、実は、日本文化の更なる古層への接近、あるいはその再生を希求する深層心理によって支持された大衆運動だったのです。(*註2

註1
神器(じんぎ)
最も知名度の高い神器といえば、大和朝廷が代々継承してきた(とされる)「三種の神器」だと思うのですが、これは鏡・勾玉・剣の3つで、全て「光を放つ」物。
「神器」という言葉は、1950年代高度経済成長期の日本では家電等を意味する「流行語」であり、
・三種の神器=テレビ・洗濯機・冷蔵庫
・60年代の「新」三種の神器=カラーテレビ・クーラー・自家用車
これらはほぼ全て電気製品ですから、電化したギターであるエレキも(三種の内には数えられなかったとは言え)電化神器の仲間だったのです(かどうか)。
電気ってびかびか光るものだし、エレキにしびれるってのも電気っぽいし。

楽器が神器でもあった時代
とは芸能が「世俗化」する以前の時代の事で、それは大和朝廷が多少なりとも政治的力を保持していた時代、なおかつ近世的な意味での「都市」が誕生する以前の時代。ですから大雑把に言って南北朝時代(の終わり頃)まで、じゃないかと思います。

註2
グヤ・テスコ類のアルミ・ピックガードって、ケイ(Kay)がお手本だったらしい(リットーのビザール本を参照)。なあんだ結局これも
コ ピ ー か よ
っていう話しだったみたいです。




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