主(ぬし)のいなくなった建物の中は、夏の日の道端に転がるセミの死骸のような、不思議な安堵感で充たされておりましたよ。
周囲のビルはあらかた取り壊され、大きな空き地が作られつつあります。
このビルが「生きていた」時の、体液の残滓。