2008/09/10(その13)

再び客席内に戻って……と言っても、これはもう公演が全て終了して後の光景。現在は4時20分頃。



数十年分の思い出を抱きながら、劇場を後に。

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一応、この日のコンサートの内容についても簡単に書いておきます。

上演時間は正味3時間くらいだったと思う。3部構成で、
・第1部 往年のヒット曲をざっと歌う感じ
・第2部 国定忠治の芝居
・第3部 新曲をじっくり聴かせた後、ねぶた等の大掛かりな道具も登場するフィナーレ

どんな人にも加齢による能力の衰えというのはあるもので、北島三郎だって例外ではない。やはり声が出なくなってるんですが、観客にそれを感じさせないまま3時間のショーをやり遂げるための「構成上の工夫」が良く練られたステージ構成になってたと思います。
「函館の女」等の大ヒット曲は第1部で、ささーっと歌うだけでお終いなんですね(1番しか歌わない)。声が衰えてるので高音をパーンと張る所等が厳しい、しかし1番だけならなんとか大丈夫という感じで、ここら辺はあまり歌い込まず、ささーっと流していく感じです。

中幕に芝居を挿むのはお約束。

第3部で何曲か披露した新曲が、今回聴いた中では一番良かったし興味深いものでもありました。北島三郎というとコワモテというイメージを持ってる方も多いかと思いますが、どうやら彼は、そこから方針転換をしたようで、近年の曲は、ゆったりしたテンポの、演歌というよりはフォーク調に近いもの。歌詞内容は家族愛系とでもいいますか、そういったものがメインになってるようです。
それで、北島三郎はもともと歌う能力自体は非常に高い人ですから、そういうスタイルでも充分に「聴かせられる」のですね。この新曲コーナーがしょぼいと3時間のステージ全体もしょぼくなってしまうというか、演歌歌手のコンサートにありがちな演出を羅列しただけの、何の新鮮味も意外性もないものとなってしまうのではなかろうか。しかしそうはならず、コンサートを見終わった後に「あー良かった」と思わせるだけのものがあるので、やはりこういう、長年「一流」の看板を掲げ続けてこられた人ってのは凄いものだなと思いました。

この新曲コーナーでしんみりさせた後、大道具が活躍し始め、最初は漁船の作り物。舳先だけなんですが原寸大なので迫力がある。これがコマ劇場の売りである回り舞台に載せられてグルグル回転する、その上に乗って「漁労もの演歌」を披露し、最後はねぶたで〆。コワモテから家族愛の人(むしろ好々爺)な方向へシフトした北島三郎ですので、以前の竜の作り物ではなく、最近はねぶたって事なんでしょうか。これも実に巨大な道具で、踊り子も多数登場し大盛り上がりのフィナーレでした。

バック・バンドについて;
ストリングス・セクションはバイオリン3+チェロ1(だったと思う)。実に小規模なもので、実際の出音のメインはキーボードだと思う。生弦は見た目上のお飾りに近い。ここら辺は普通に現代的に省予算な感じです。
ブラスは7管くらい(だったと思うけど正確には忘れた)。標準的な編成です。北島三郎のレパートリーでは、ブラス・セクションはそれほど重要な要素ではないかな?
仕事量的に一番忙しいのはギターの人でしたね。一人しかいないんですが、演歌のギターってのは古賀演歌のナイロン弦から70年代中期のファンク調、そして80年代以降のメタル調まで、実に幅広いスタイルを要求される。それを一人で(ギタリストは一人きりなんですよ)、曲ごとにエレキ/生ギを持ち替えながら弾いてました。曲間がほとんど無い場合にはかなりの早業となり、それでもミス・トーン等は一切ないという職人仕事。ご苦労様です。



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