(お別れ録音)Fresher FN-281、2010年10月

2010/11/14
(改)2017/07/18


 Fresherのずいぶん安いムスタングもどき、FN-281。1970年代の初期〜中頃、日本製エレキのコピー度が徐々に高まってきた頃の製品だと思います。「昭和の安ムス」といえばトムソンがダントツの人気一位ですが、


(参照画像)

フレッシャーのも当時はそれなりに売れてたらしいです。本物のムスタングとの違いは、

・ボディの形がへん!
・スケールはミディアム
・やたら重い
・PUはメタル・カバー
・逆相接続は不可

など多数あり、こうやって数え上げてみるとFN-281、実はムスタング・コピーではないような気もしてきます。しかしレーシング・ラインはムスタングの証。トレモロ・ユニットがジャガー/ジャズマス型なのもまことに遺憾な仕様ですけど、21世紀日本における最新型の安ムスも、いまだにこういう有様で↓

これってなんなんだろ。3D映画と同じく、一周してレトロって事ですかあ?

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 さてそれで、ムスタングあるいはムスタング風エレキの「お別れ録音」にふさわしい題材とはいかなるものか?とりあえずムスタングを使用してる著名人としては、

・初期のトッド・ラングレン
・中野梓

の二人くらいしか思い付けない当サイト管理人です。それで私は、トッド・ラングレンなんて良く知らないしあまり興味もない(トッドがムス使いだというのは、何かの話しのついでで知ってるだけ)。それに、画像ググってみたけどトッドがムス持ってる写真は見つけられなかったので、この人ほんとにムス使ってたのかどうかの確信が持てない。じゃあ今回は梓ネタ。となると中野梓に捧げる曲の類をなにするべきかもだけど今回はパス。それをやるなら願わくば、もっとまともな楽器で弾きたい。

 Fresher FN-281は70年代の製品なので、安物といえどもテスコ類よりかはずっと弾きやすいです。でもそれは、あくまでも「テスコと比べればマシ」というにすぎないのであって、現代の標準からしたらアレ。ですから、あまり弾きやすくはないエレキでも出来る梓ネタを探さねばならない。見付けられなかったら捏造せねばならない。となると
「半音の、はんぶんのはんぶん」
なんてお題はどうでしょうかね。

*)けいおん!!第2期/第6話:梅雨!を参照のこと

■リード/バッキングともFresher FN-281
■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D1
■PUポジションはリード=R/バック=F
■両パートともノー・エフェクト/素の音です

■2010年10月29日録音

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「半音のはんぶんのはんぶん」といっても、実際は半音内を均等に4等分するのではなく、↑の録音は、

  • ピタゴラス律の小半音
  • 純正律の長3度
  • ピタゴラス律の大半音
を意図的に使い分けてみましょうという演奏例です。純正3度はコード・ルートと関係する音程だから、フレーズの頭にポーンとロング・トーンで鳴らすような使い方でもOKだけど、ピタゴラス律の大小半音は順次進行する音階内でのパッシング・ノートに対して使い分けられれば有効なもので(というか、そういう場面で使ってこそ意味があるもので)、しかしやっぱり、この音程をベンドでコントロールするのは難しいですねという事が良く分かったのが今回の録音です。難しいというか、ベンドする過程でのスリ上り/下りしてる部分が鳴ってしまったら、それは普通のベンドとなんら変わりませんよねー★っていう。しかも今回のは実際のところ、ピタゴラス律の大小半音の使い分けなんて出来てないです。

 でもこの録音は、やってみて良かったと思います。いわゆる「吃弁フレーズ」というものがございますよね。指グセ的な音型・同じフレーズを、クドくネチこく3回かそれ以上繰り返す奏法で、自称ブルース系のダサい老人が持ちネタにしてる場合が多いあれ。繰り返し回数が多すぎる場合は「レコードの針飛びフレーズ」ともいう、あれのことです。悲しむべくは筆者もダサい老人のお仲間で、だから恥ずかしげもなくこれを多用しますけど、私の場合問題なのは、この「吃弁フレーズ」内にベンドが含まれてる場合、繰り返しの最終回にベンド幅が大きくなって、音程が上がりすぎるケースが多い点。これは致命的にダサいんだけど「お別れ録音」シリーズにはそうなってしまってる作例が多いから頭が痛い

 半音内の微少音程を意図的に使い分けてみる試みは、ベンドを「なんとなく・だいたいそこら辺まで」上げてみるのではなく、どこまで上げるかを状況に応じてきっちり管理できるようになるための課題として利用出来るのではなかろうかという期待があるので、今回の録音はやった甲斐があったかなと思うのです。まあ仮に、微少音程をきっちり使い分けられるようになったとしても、結果としては(聴く側にとっては)いつも通りの「微妙にフラットしてる/シャープしてる」ベンドと何ら変わらないのでしょうけれど、ダサいギタリストとそうでないギタリストとでは、奏者の内部で動作してる管理システムの精度が異なるのではなかろうか?


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