Teisco BR62 *当サイトでのテスコのブリッジの呼び名について

1962年に登場したSS-4LSD-4Lに用いられたのが、このブリッジの初登場の年だと思います。

もしかしたら62年より以前のJシリーズから使われていたのかも知れませんが、Jシリーズに関しては資料が乏しすぎて判断出来ず。ベンチャーズ初来日の年でもあり、SS-4L、SD-4Lが発売された年でもある1962年は、日本エレキ史の区分として重要な年ですので、このブリッジも62年からの物であってくれれば「分かりやすくて良いな」という気持ちもありまして。

1964年発売のTG-64、1965年発売のYG-6ともに初期型はこのBR62ブリッジが使われていますが、66年以降この2機種にはBR66が載せられるようになります。SS-4Lも66年以後の出荷分にはBR66が使われています。

WGシリーズの場合、初期ロットは全てBR62ですが、後期型WG-2LWG-3LにはBR65WG-4LにはBR66が使われます。

62年に登場した時点ではフラッグシップ・モデル(SS&SD)用のパーツであったBR62ですが(これしかなかったし)、その後新型ブリッジが開発されるに従い段々と使われなくなり、67年以降は(少なくともカタログ上では)、完全に姿を消します。




エレキ用ブリッジとしての機能は

・弦高調整=○
・オクターブ調整=×
・ローラー機能=×

というもの。62年以前のフルアコやJシリーズでは(固定式であるとはいえ)オクターブチューニングに対応したブリッジを作用していたテスコですが、それらは木製であるし、そもそもフルアコはナルダン製。
62年の時点では、フルアコ用木製サドルのような複雑な形状の金属パーツを作るのは厳しかったのでしょうか。ましてや、各弦ごとのオクターブ調整機能なんて夢。

フォークギターのサドルのように、このブリッジをスラントさせて取り付けた例もあるようです……少なくとも64年のカタログ画像のTG-64TB-64(6弦ベース)ではそうなっているのですが、これはこれで「弦落ち」とか「サドル部分でのバズ発生」という問題を起こしそうです。
65年のカタログ画像のYG-6YB-6(これも6弦ベース)ではスラント「させない」取り付け方になっていますし、実際に出荷された製品の多くは、スラントさせてないように思えます。




サドルは棒材なので一見ローラー風にも思えますが、実際はこの「枠」に「棒」がただ乗せられているだけで、ローラー機能はありません。



台座は無垢の金属製で、フラット・トップ専用の物です。




サドルの「棒」は「枠」にホントただ乗せられているだけで、横ズレ防止対策は「支柱のボルトにおまかせ」な構造。ラップ・スティール用ブリッジと同じような作りです。

全体に旋盤・スライド盤・ボール盤などごく基本的な工作機械のみを用いて作ったブリッジだと思います。単純な構造ですが、量産化に対応するのはむしろ苦しいようにも思えます。



2007/03/03
(改)2007/04/02


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