2006/01/11(その2)
麻布十番商店街から少し離れたところ、現在の幹線道路(都道319号線)沿いにある十番稲荷。



とってもスレンダーな狛犬。



作られたのは昭和12年(1937年)。
・顧問  大島如雲
・制作者 津田眞瑞
・鋳造  遊作喜三郎
との事。



この航空写真は某サイトから無断借用したもの(それを僕が加工したもの)ですので、あまり大っぴらにナニするのはアレなんですが、ちょっと説明用に欲しいのでして。

十番商店街があるのは北と南西にある小高い丘に挟まれた谷間(たにあい)の地域、という事になりますでしょうか。現在の十番商店街は「大通りの一本裏手にある、ひなびた商店街」といった風情ですが、この一帯で一番標高が低いのは十番商店街の道筋であり、以前はここが町の中心であるだけでなく、物流往来の中心でもあったのかも知れません。

十番商店街はこの画像の左上の方に向かって大きく蛇行し→芋洗坂→六本木交差点へとつながっています。

十番「稲荷」は北側に向けて標高が急に高くなる、つまり丘の「へり」に位置してますから、昔はここが町はずれ、あるいは鎮守の森への入口といった場所ではなかったかと思います。

現在の幹線道路(都道319号線なんですが、とくに名称はないようで)はこの画像の左上の方で十番商店街の道筋と交差し→六本木ヒルズ→麻布トンネルへとつながる道ですから、近代化する以前の麻布でも、この道筋が主要路であったかどうか。

なんて事は古地図を当たってみればすぐに分かりそうな事ですが、現代の街を歩き、景観を眺め、そして遠い過去のこの場所の姿をあれこれ想像するのも楽しいのでして。

江戸時代あるいはそれより以前には、十番商店街の道筋は川であった可能性もありますね……というか、こういう地形が形成されたのはここが川だったからに決まってる、というのは関東ローム層の常識。



この狛犬が作られたという昭和12年の、この位置からの景観は、視界を遮るものもなく、まだまだ農村の雰囲気が多く残っていた(かも知れない)麻布の町が眼下に広がっていたのでしょう。

激変する街の姿をこの場所から、70年間見つめ続けた狛犬です。


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