WGシリーズMJシリーズに使われている事が多いトレモロ・ユニットです。TG-64にも一時使われてたようです。

接地面積は小さく、ですから実際は小型な方のユニットなのですが、全体がカバーで覆われてる分、高さというか厚みが大きくなっていて、「もっこり」した箱形の外観を呈しています。
テスコにはこのユニットに似た形状の物がもう1種類あり、このページの物の方が後期型です(たぶん)から、これを当サイト内では箱形2号と呼ぶ事にします。

このユニット、何年頃に使われていたのかはよく分かりません。

65年のカタログのTRG-1には箱形1号が使われているが、
65年製と思われるWG-3Lには使われている
WG-4Lにも使われている
・TRG-1に使われている例もある。ちなみにTRG-1の製造終了は、たぶん66年
BR66と組み合わされている例もある(TG-64)
・67年のカタログに、このユニットを載せた製品の画像はない

以上の事から、このユニットは65〜66年に使われていたのは間違いなく、67年以降については今のところ不明ですが、(何となく・根拠もなく)67年以降は使われて「いない」ような気がします。

この箱形シリーズ・トレモロはカワイのエレキ(Hound Dog Taylor使用機系)にも使われているようです。

箱形1号のアームの取り付け位置は1弦側、2号は中央。


カバーは(箱形1号と違って)取り外し可能。ですからこのユニットはカバーが欠品してしまっている例が多いですね。

中身の方は、先代箱形1号がほぼBigsbyと同じような原理のトレモロであったのに対し、この2号はそれとは全く別の発想で設計された製品です。
まず細長いバネが3本ありますが、これは押しバネ。

支点は先の尖ったネジの頭です。何式と呼んだらよいものかよく分かりませんが、他社製品にもあまり例を見ない、なかなかユニークなものと思われます。ネジを差し込む深さなど細かい微調整が可能なのだと思います。

それでアームをダウンすると弦を引っ掛けているプレートが前方に傾いて音程が下がる訳ですが、バネを取り付けている部分の動きがスムーズでない(摩擦が多い)ので、音程の復元が極めてよろしくない。
アーム・ダウンすると、
ダウンしたまんま状態
になると思って頂いてほぼ間違いないです。

弦を引っ掛けるスリットなんですが、弦毎にまちまちな長さになっています。これはアームの操作時に各弦の音程間隔をなるたけ保持させようという工夫……要するにコードを弾いてアーム操作した時に、コード感が崩れないようにするための小細工ですけれど、

実際に弦を張ると6本とも横一列に並んでしまうのは、かなりアレです、痛いです。
研究試作段階や事前のリサーチなどを行わないまま製品化してしまったのであろうか?

2007/03/15
(改)2007/05/17
(改)2012/05/15



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